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#379 「淀川海運事件」東京地裁

2015年2月4日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第379号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【淀川海運(以下、Y社)事件・東京地裁判決】(2011年9月6日)

▽ <主な争点>
人員削減の必要性と整理解雇など

1.事件の概要は?

本件は、Y社の従業員であるXが同社からされた整理解雇は、いわゆる整理解雇の4要件を欠く、あるいはXの所属する労働組合の弱体化を企図したもので不当労働行為に当たり、無効であるなどとして、Y社との間で雇用契約上の地位確認を求めるとともに同社に対し、解雇後の賃金の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Y社、XおよびY社ユニオン等について>

★ Y社は、海上運送業、一般区域(限定)貨物自動車運送事業等を目的とする会社である。

★ Xは、平成2年5月、Y社との間で期限の定めのない雇用契約を締結し、技能職員(トレーラー運転手)として勤務していた者である。

★ Y社の従業員のうち技能職員は従前、日本基幹産業労働組合連合会Y社労働組合(以下「Y社労働組合」という)と全日本港湾労働組合関東地方本部東京支部(以下「全港湾支部」という)という2つの労働組合に加入していたところ、XはY社労働組合の書記長の地位にあったが、19年7月、同組合の総会において、Xを含む執行部全員が解任された。

★ Xらは同年9月、Y社労働組合を脱退し、20年2月、上部団体のない単位労働組合であるY社ユニオンを結成したところ、Xはその執行委員長となった。

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<Xらによる時間外手当請求訴訟について>

▼ Y社とY社労働組合および全港湾支部との間では、18年5月頃から時間外手当の算定基礎に関してしばしば労使協定が締結されていたが、Xを中心とする一部の組合員はこれらの労使協定の内容が労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)等に違反する内容であると主張しており、この点に関して争いがあった。

▼ Xら6名は19年5月末頃、実際に支払われた時間外手当と正規の計算に基づいて算定した時間外手当の差額が存するとして、Y社に対し、時間外手当請求訴訟を提起した。

▼ 東京地方裁判所は21年3月、上記訴訟について、付加金部分を除き、Xらの請求を認容する内容の判決を言い渡した。Y社は同判決に対し東京高等裁判所に控訴したが、同年7月、同裁判所において、Xら請求にかかる時間外手当等の金額の大半を同社が支払うという内容で訴訟上の和解が成立した。

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<本件会社再生計画等について>

▼ Y社は21年1月、従業員を集めて説明会を実施し、不況で仕事が減り、それに伴って売上が大幅に減少したため、財務内容が悪化し、資金繰りが困難になったとして、会社再生計画と称する提案を行った(以下「本件会社再生計画」という)。同計画によれば、(1)人員整理として技能職員54名を33名にする(21名を解雇)、(2)事務職員15名を10名にする(5名を解雇)、(3)賃金については、給与規程を改定して、一律10%減額とするなどというものであった。

▼ Y社は同年2月、従業員に対し、退職金の加算金として一律100万円を上積みすることを条件に希望退職者の募集を行った。この希望退職者の募集等により、22年4月時点までに同社の技能職員の数は40名に減員された。

▼ Y社は同月末から従業員の賃金を一律5%カットした。Y社労働組合および全港湾支部は事前に同賃金カットについて同意していたが、Y社ユニオンは同意していなかったことから、Y社に対して抗議した。

▼ Y社は同年3月、ワークシェアリングと称して休業命令を出し、技能職員を交替で休業させた。この休業日について技能職員の賃金は通常の60%のみを支払うこととなった。なお、この状態は同年8月まで続いた。

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<退職勧奨と本件解雇等について>

▼ Y社は21年8月、Xら5名に対し、退職勧奨を行った。このときXらに渡した理由書には「貴方とはこれ以上やっていくことはできない」と記載されていた。また、同社は上記5名に対し自宅待機を命じた。

▼ Xはこれに対し、同年9月、Y社に対し退職勧奨に応じる意思はないことを伝え、かつ、Xに対する自宅待機命令は違法であるとして通常業務に復帰させるよう求めたが、同社はこれに応じず、結局、Xの自宅待機は同年12月まで続いた。

▼ Y社は22年5月7日、「希望退職者募集に関するお知らせ」と題する書面を掲示し、希望退職者を募集した。同書面によれば「希望退職の募集人員は4名、募集期間は同月8日から21日まで、優遇措置としては会社都合とする所定の退職金の他に特別退職加算金として一律100万円を支給する」とされていた。

▼ Y社は同月28日、Xに対し、再度退職勧奨を行った。同社はXが退職に応じるならば加算金として250万円を支払う旨述べたがXはこれに応じなかった。

▼ Y社は同年6月15日、Xに対し、同日付で解雇する旨口頭で通告した(以下「本件解雇」という)。同社は、本件解雇は整理解雇である旨述べ、Xが選定された理由として、Xが協調性に欠ける旨説明した。また、Xに送付された解雇理由証明書には、解雇の理由として「事業縮小等会社の都合 当社が余剰人員削減のために実施した希望退職者募集および退職勧奨によっては、削減人員の定数に満たなかったための整理解雇」と記載されている。

3.社員Xの主な言い分は?

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