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#453 「ドリームエクスチェンジ事件」東京地裁

2018年1月10日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第453号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【ドリームエクスチェンジ(以下、D社)事件・東京地裁判決】(2016年12月28日)

▽ <主な争点>
過度の私的なチャットの利用と懲戒解雇事由、労働時間など

1.事件の概要は?

本件は、XがD社に対して、平成26年7月8日付の懲戒解雇は無効であり、自らの意思により同年8月11日付で退職したものであるとして、労働契約に基づき、未払賃金(皆勤手当、役職手当、未払賃金)の支払などを求めたもの。

一方、反訴事件は、Xの業務中における業務外チャット時間が長時間であり、これを労働時間から控除すると給与が過払いであるとして、不当利得返還請求を求め、さらに、Xが社内のチャットにおいてD社に対する信用毀損行為をしたとして、不法行為による損害賠償を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<D社およびXについて>

★ D社は、移動体通信事業、デジタルソリューション事業などを業務とする会社である。

★ Xは、平成25年2月、D社に雇用され、同年5月から経理課長に昇進して経理・総務業務を担当していた者である。

★ D社では従業員が社内での業務連絡のため、常時パソコンでチャットを利用する運用になっており、Xも毎日チャットを利用していた。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ 26年6月、D社の従業員であったAが同業他社への転職に際し、D社の営業秘密である顧客情報を持ち出したことが判明した。

▼ D社はAのチャットや電子メールを精査し、XがAを唆して顧客情報を持ち出させた可能性があると判断し、Xのチャット履歴等を調査した。その結果、Xが25年11月から26年6月にかけて、業務とは無関係のチャットを合計約5万回行っていたことが判明した。

▼ 26年6月20日、D社はXに対し、業務中の行動に関して、服務規程および入社時の秘密保持に関する誓約書の内容に抵触する疑いがあるとして、同日から7月4日まで自宅待機を命じた。

▼ 同年7月4日、XはD社に対し、同月7日以降、有給休暇および代休を取得する旨申請するとともに同年8月11日付で退職する旨の意思表示をした。

▼ 同年7月8日、D社はXに対し、主位的に同日付で懲戒解雇する旨、予備的に普通解雇する旨の意思表示をし(以下「本件解雇」という)、次の(1)から(5)までの行為(以下「本件懲戒事由」という)が同社の就業規則に定める懲戒事由に該当することを通知した。
(1)業務中に社内のパソコンを使い、非常に頻繁に他の社員と業務と全く無関係のチャット(以下「本件チャット」という)をして職務を著しく怠ったこと。
(2)本件チャット内でD社の営業上かつ信用上重要な顧客データ等を社外に持ち出すようAに指示したこと。
(3)本件チャット内でD社が悪徳企業であり、倒産寸前であるかのような同社の信用を著しく毀損する嘘を言ったこと。
(4)本件チャット内でD社の社員に対する悪質な誹謗中傷を繰り返したこと。
(5)本件チャット内でD社の女性社員につき、性的な誹謗中傷を再三行ったこと。

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<本件訴訟に至った経緯について>

▼ Xは労働審判を申し出て、労働審判委員会は27年3月、概要、下記の審判をした。これに対し、D社が異議を申し立てたため、本件訴訟に移行した。

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