#464 「東日本旅客鉄道事件」東京地裁(再掲)
2018年6月20日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第464号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【東日本旅客鉄道(以下、H社)事件・東京地裁判決】(2017年6月29日)
▽ <主な争点>
賞与支給日在籍要件と差別的取扱いなど
1.事件の概要は?
本件は、平成28年4月末日でH社を退職したAら3名に対し、基準日要件(基準日である6月1日前1ヵ月以内に退職した者)に該当しないことから、退職日の属する年度の夏季手当を支給しなかったことについて、合理性のない差別的取扱いであると主張して、不法行為に基づく損害賠償請求(夏季手当相当額)の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<H社およびAら3名について>
★ H社は、旅客鉄道事業、貨物鉄道事業などを主な目的とする会社である。
★ A・B・C(いずれも4月生まれ)は、H社に雇用されていた元従業員であり、平成28年4月末日付で同社を定年退職した者である。
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<定年に関する就業規則、期末手当に関する賃金規程の定め等について>
★ H社が昭和62年4月に定めた就業規則(旧就業規則)45条は従業員の定年に関し、次のとおり定めている。
(1)社員の定年は満60歳とする。
(2)定年退職日は、社員が定年に達する日の属する月の末日とする。
★ 旧就業規則の一部を構成する賃金規程(旧賃金規程)には、期末手当に関し、要旨次のとおり定めている。
141条(支給範囲)
期末手当は、6月1日および12月1日(以下、両日を「基準日」という)にそれぞれ在職する社員および基準日前一ヵ月以内に退職しまたは死亡した社員に対して支給する。
142条(調査期間)
調査期間は、夏季手当については前年12月1日から5月31日まで、年末手当については6月1日から11月30日までとする。
★ H社は平成元年4月、旧賃金規程142条が規定する調査期間を「夏季手当については、前年10月1日から3月31日まで、年末手当については4月1日から9月30日まで」に、年末手当の基準日を12月1日から11月1日にそれぞれ改定した。
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<平成28年度夏季手当の支給について>
▼ H社は上記改定後の賃金規程に基づき、28年6月30日、従業員に対し夏季手当を支給したが、Aらは28年度夏季手当の基準日要件(基準日である6月1日前1ヵ月以内に退職した者)に該当しないことから、上記手当の支給を受けなかった。
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