#479 「甲学園事件」東京地裁
2019年1月23日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第479号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【甲学園事件・東京地裁判決】(2017年4月21日)
▽ <主な争点>
内定成立と期待権侵害による不法行為など
1.事件の概要は?
本件は、甲学園の看護学部設置認可にかかる教員名簿に登載されたにもかかわらず、教員として採用されなかったAおよびBが同学園に対し、Aらを採用しなかったことは、(1)採用内定の取消しであって、債務不履行(誠実義務違反、民法415条)または不法行為(民法709条)に当たる、もしくは(2)Aらの期待権を侵害する不法行為に当たると主張して、Aにつき損害賠償金(逸失利益・慰謝料・弁護士費用等)1166万1565円およびBにつき損害賠償金678万円ならびにこれらに対する遅延損害金の各支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<甲学園、AおよびBについて>
★ 甲学園は、学校教育を目的とする学校法人である。
★ Aは、平成26年4月にP大学から出向する形で甲学園の看護学部設置準備室特任教授に就任した者である。
★ Bは、非常勤講師をしながらR大学大学院博士課程で看護学を学ぶとともにクリニックで勤務していた者である。
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<甲学園の看護学部設置とAらの不採用について>
★ Aは甲学園の看護学部設置に向けて勤務し、27年4月1日から同学部看護学科の専任教員に就任する旨の教員就任承諾書を作成、提出し、文部科学省のウェブサイト上にも甲学園看護学部の教授である旨の記載がされていた。
★ Bは26年5月頃および11月頃に教員就任承諾書等の個人調書を作成し、同年11月25日付で甲学園から勤務(内定)証明書を受領した。同証明書には「27年4月1日から専任講師として勤務時間8時30分~17時15分、月給33万2100円で採用内定される」旨が記載されていた。
▼ 甲学園は26年5月、文部科学省に看護学部設置申請書を提出し、同年12月に同省から看護学部設置の認可を受けた。
▼ 甲学園は27年1月、Aに対し、同年3月末日で出向契約が終了する旨の通知をした。
▼ Bは同年1月、甲学園の新学部設置準備室の室長および新学部の学部長予定者と面談し、不採用の通知を受領した。
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