#511 「飯島企画事件」東京地裁(再掲)
2020年5月13日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第511号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【飯島企画(以下、I社)事件・東京地裁判決】(2019年4月26日)
▽ <主な争点>
実際の時間外労働時間数との間に相当程度の差異がある固定残業代など
1.事件の概要は?
本件は、I社との間で雇用契約を締結した労働者であるXが同社に対し、(1)時間外労働等に係る割増賃金およびこれに対する遅延損害金、(2)労働基準法114条に基づく付加金およびこれに対する遅延損害金、(3)月例賃金の減額に同意していないとして、減額前後の月例賃金の差額分合計26万円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<I社およびXについて>
★ I社は、一般貨物自動車運送事業等を目的とする会社である。
★ Xは、平成26年3月、I社との間で雇用契約(以下「本件雇用契約」という)を締結し、トラック運転手として就労していたが、30年3月に退職した者である。
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<Xの月例賃金、本件時間外手当の推移等について>
★ 本件雇用契約に係る労働条件通知書には「時間外手当 約81時間分」「上記手当を超過する場合、別途超過分を支給します」との記載があり、I社の賃金規程には「固定残業手当は一賃金支払期間あたり一定時間の時間外労働割増賃金相当分として支払う」と記載されていた。
★ Xの月例賃金は当初は総額24万円であったところ、これが26年9月から23万円に減額され、その後27年5月以降は23万2916円であった。
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