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#216 「トランスシステム事件」東京地裁

2008年9月17日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第216号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【トランスシステム(以下、T社)事件・東京地裁判決】(2007年6月22日)

▽ <主な争点>
顧客先でのIPメッセンジャーの私的利用等を理由とする解雇の効力

1.事件の概要は?

本件は、T社において課長待遇のシステムエンジニアとして業務に従事していたXが、顧客先でのIPメッセンジャーの私的利用等を理由として労働契約の合意解除または解雇を主張する同社に対し、その地位の確認と未払い賃金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<T社およびXについて>

★ T社は、情報処理産業において助けとなるサービスを行うことを目的とする会社であり、取引先が委託を受けたコンピューターシステムの設計、開発等の業務について請け負い、従業員を派遣して取引先の従業員とともに業務の遂行に当たるという形態で事業を行っている

★ Xは、11年4月からT社と雇用契約を締結し、課長待遇のシステムエンジニアとして、コンピューターシステム設計の業務に従事していた。Xが従事した主な業務は、いずれもF社から請け負ったものである。

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<本件解雇に至るまでの経緯等>

▼ Xは、15年1月から16年9月までの間、T社とF社との間の契約に基づいてN社のプロジェクトに従事していた際、パソコンのIPメッセンジャーの機能を利用して、就業時間中に頻繁に私的なやりとりをし、その回数は16年4月から同年10月までの6ヵ月の間に1700件余りとなっていた。その内容は、就業時間後に飲みに行くことの誘いや、プロ野球の話題や、休日の過ごし方など多岐にわたるものであった。

▼ Xは、16年10月以降、社内待機となり、同年11月には自宅待機を命ぜられた。なお、賃金については、それまでの1ヵ月50万6000円から、その60%が支給されることとされたため、同年12月から17年2月までは月額30万3600円が支給されるにとどまった。

★ Xは社内待機中の16年11月にも、T社の社内のパソコンを利用して、他の従業員に対し、競馬の話題についての電子メールを送信していた。

▼ T社の取締役であるAは、17年3月、Xと面談し、退職を勧告した。

▼ T社は、同年3月16日付の解雇通告書により、Xに対し、「このたび当社は別紙に記載の理由により、貴殿を本日付で解雇いたします。したがって、労働基準法第20条の定めにより、解雇手当として平均賃金の30日分を支払いいたします」との文面をもって、解雇(以下「本件解雇」という)の意思表示をした。

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