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#393 「エンゼル事件」新潟地裁長岡支部(再々掲)

2015年9月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第393号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【エンゼル(以下、A社)事件・新潟地裁長岡支部判決】(2013年10月24日)

▽ <主な争点>
リゾートマンションの管理人らの時間外労働等の賃金請求など

1.事件の概要は?

本件は、リゾートマンションの管理組合から管理業務の委託を受けていたA社に雇用されていたXらが雇用期間中、時間外労働および時間外かつ深夜労働をしたとして、同社に対し、未払に係る労働基準法(労基法)所定の時間外労働等に係る賃金および付加金の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<A社、XおよびYについて>

★ A社は、不動産の賃貸・管理等を事業目的とする会社であり、新潟県湯沢町所在の9階建てリゾートマンション(以下「本件マンション」という)について、その管理組合から管理業務の委託を受けていた(以下、同委託に係る契約を「本件管理委託契約」という)。

★ XおよびY(夫婦)は、平成19年12月、A社から本件マンションに住み込んで管理する住込管理員として、雇用された者であり、本件管理委託契約に基づき、住込管理員業務(フロント業務、共用部・専有部清掃、大浴場運営、除雪、設備点検、リゾートマンション業務全般)を行っていた。

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<Xらの勤務状況、退職等について>

★ 本件マンションは、A社の管理部が置かれた事業所から離れており、同社がXらの業務を直接管理したり監視したりしていたわけではなく、Xらに対し、業務日報を日々作成し、勤務時間内にファックス送信するよう指示していた。

▼ Xらは事前に残業申請をしたことはなかったが、23年9月17日から業務日報において、時間外労働等を行っているとする報告をするようになったため、A社はXらと話し合いを行いながら、大浴場の点検・清掃、ボイラーのスイッチのオン・オフについて時間外労働等となる可能性がある作業はしないように指示した。

▼ その後、Xらは自宅から本件マンションに通勤するようになり、有給休暇を取得するなどした後、Xは24年1月、Yは23年12月にそれぞれ自己都合退職した。

3.管理人Xらの主な言い分は?

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