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#621 「小田急電鉄事件」東京地裁

2024年9月18日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第621号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【小田急電鉄(以下、O社)事件・東京地裁判決】(2023年12月19日)

▽ <主な争点>
覚醒剤所持および使用の罪での有罪判決を理由に懲戒解雇された従業員への退職金不支給など

1.事件の概要は?

本件は、覚醒剤所持および使用の罪での有罪判決を理由に2022年7月7日付でO社を懲戒解雇されたXが同社に対し、退職金およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<O社およびXについて>

★ O社は、鉄道事業等を業とする会社である。

★ Xは、1995年4月、O社に雇用され、主に車両検査業務に従事し、2022年当時は大野総合車両所の車両検査主任として勤務していた者である。


<Xの覚醒剤取締法違反事件について>

▼ Xは2017年頃から密売サイトを通じて覚醒剤を購入し、1ヵ月に4回、休前日である金曜日や土曜日に吸引して使用するようになった。

▼ Xは2022年4月19日、職場を無断欠勤し、交際相手と山中湖にドライブに行った。その際、交際相手は、Xが所持していた鞄の中にチャック付ビニール復路入りの覚醒剤(0.147グラム)と吸引具等を発見し、これらをXに秘して取り出し、帰宅後にXの父親に渡した。Xの父はこれらを警察署に任意提出した。

▼ Xは同年6月4日、自宅で警察官に任意同行を求められてこれに応じ、警察署で尿を任意提出した結果、簡易検査で覚醒剤の陽性反応が現れ、覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕された。同月6日には、Xの自宅の家宅捜索の結果、チャック付ビニール袋入りの覚醒剤3袋(合計1.244グラム)が発見された。

▼ Xは上記の覚醒剤所持および使用の罪につき東京地方裁判所に公判請求された。Xは罪をすべて認め、同年9月、懲役2年執行猶予3年の有罪判決を受け、確定した。

▼ Xは同年6月29日、一身上の都合により同年7月13日をもって退職する旨の退職届を提出したが、O社はこれを受理しなかった。

▼ O社は同年7月7日、上記の覚醒剤所持および使用(以下「本件犯罪行為」という)を理由にXを懲戒解雇する旨の意思表示を行った。

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