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#606 「グッドパートナーズ事件」東京地裁

2024年2月7日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第606号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【グッドパートナーズ(以下、G社)事件・東京地裁判決】(2022年6月22日)

▽ <主な争点>
有期労働契約における契約更新への合理的期待の認定など

1.事件の概要は?

本件は、G社との間で有期労働契約を締結していたXが2019年3月31日をもって雇止め(本件雇止め)をされたところ、本件雇止めは無効である旨主張して、同社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに(請求1)、上記労働契約に基づき、同年4月分から2021年12月分までの未払賃金合計1108万8000円およびこれに対する遅延損害金の支払(請求2)ならびに2022年1月分以降の未払賃金として月額33万6000円の支払を求め(請求3)、さらに、本件雇止めが不法行為に当たると主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料50万円およびこれに対する遅延損害金の支払(請求4)を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<G社およびXについて>

★ G社は、主に介護の仕事を紹介する人材派遣会社である。

★ Xは、G社との間で契約期間を2019年2月3日~3月31日、契約更新について「更新する場合があり得る」との前提で有期労働契約(以下「本件契約」という)を締結し、夜勤専従の介護福祉士として有料老人ホーム(以下「本件施設」という)に派遣されていた者である。


<本件雇止め、本件訴訟に至った経緯等について>

▼ G社は2019年2月21日、Xに対し、「ご契約更新の期間が確定しましたので、ご報告させていただきます」、「ご契約更新期間:同年5月末日まで ※2ヵ月の更新が確定しました!」、「個別契約書につきましては、順次発送させていただきます」との内容の電子メール(以下「本件メール」という)を送信した。

▼ Xは同年2月25日の勤務時間終了後、本件施設の副施設長に対し、施設職員による利用者への虐待行為(職員が利用者を叩いたり、エプロンを口に入れるなどしたとみられる行為、以下「本件虐待行為」という)があったとして、その旨報告し、行政機関(地域包括支援センター)にも同内容の通報(以下「本件通報行為」という)を行うとともに、G社に報告した。

▼ G社は同年3月6日、Xに対し、上記契約更新を取り消し、新たに仕事の紹介もしないと通知し、同月31日をもって、契約期間満了により本件契約が終了したものと扱い(以下「本件雇止め」という)、同年4月以降の本件契約の更新をしなかった。

★ Xは同年4月から別会社との間で有期労働契約(更新あり)を締結し、夜勤専従の介護福祉士として稼働している。

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