#10 「野村證券事件」東京地裁
2003年10月22日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第10号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 条文紹介
★ 労働基準法 第16条(賠償予定の禁止)
「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」
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■ 【野村證券(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2002年4月16日)
▽ <主な争点>
退職した社員に対する海外留学費用の返還請求
1.事件の概要は?
本件は、N社が元社員でフランスに留学し帰国後、1年10ヵ月で退職したXに対し、留学費用は留学を終え、帰国後5年間会社に就業した場合に債務を免除する旨の免除特約付きで貸し渡した貸し金であるとして、その一部の返還を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Xについて>
★ Xは、平成元年4月、N社に入社し奈良支店に勤務していた者である。
<Xの海外留学、退職までの経緯、N社が支払った留学関連費用について>
★ Xは3年5月、海外留学候補生として選抜され、同年7月から語学学校に通うなど留学準備を行った。
▼ 4年2月、Xはフランスに向けて渡航し、ビジネス・スクール受験のため、パリの語学学校ELFEにて英語、フランス語等の勉強を行った。渡航に先立ち、Xは所定の海外留学誓約書に署名押印し、N社に提出した。
▼ 同年9月、Xはパリ郊外のビジネス・スクールINSEADに入学し、MBA資格を取得した後、6年7月に帰国した。
▼ 同月、Xは米国ニューヨークにあるW社に出向したが、8年5月をもってN社を退職した。
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