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#253 「トータルサービス事件」東京地裁(再々掲)
2010年2月17日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第253号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【トータルサービス(以下、T社)事件・東京地裁判決】(2008年11月18日)
▽ <主な争点>
退職した従業員に対する2年間の競業差止請求等
1.事件の概要は?
本件は、T社に雇用されていたXが在職中および退職時に締結した機密保持契約に基づく競業避止義務に違反したとして、同社がXに対し、損害賠償および遅延損害金の支払いならびに上記義務に違反する行為の差し止めを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<T社およびX等について>
★ T社は、建築物・構築物内外装の清掃・補修・保守の各事業、同各事業に関わる機械・車両・器材・塗料・洗剤の輸入・販売・リース、同各事業に関わるフランチャイズチェーン店の加盟店募集および加盟店指導業務等を目的とする会社である。
★ 同社は車両外装のへこみや傷等を修復するデントリペア、エクステリアリペアと家具・車両内装の修復や色替えを行うインテリアリペアの各技術について、米国会社と独占的実施契約を締結し、直接これを実施・施工する事業および全国でのフランチャイズ事業を行っている。なお、上記いずれの技術も、我が国では広く行われているものではなく、数えるほどしか業者は存在しない。
★ Xは、平成2年6月にT社に入社し、15年8月に一身上の都合を理由に退職届を提出して同年9月に退職した者である。
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<XのT社における業務内容等について>
▼ T社は7年12月にインテリアリペア・デントリペア・エクステリアリペアの3業種につき「TOTAL REPAIR」事業として導入し、Xは同月から8年4月までにこの3業種の技術習得のために米国研修(渡米4回)および国内における事業立上げの準備に従事した。
▼ 同年5月から14年11月まで、XはT社パートナーサポート事業部(加盟店の開業後の機器材・消耗品等受注、営業報告の受理をはじめその他開業後の加盟店の具体的な営業活動に対する加盟店サポートを行うとともに、同社事業のうち車関連事業の同社直営施工)に所属し、インストラクターの地位にあって、加盟店への技術指導および車関連事業の直営施工を担当した。
▼ 同年12月~15年8月まで、Xは特殊メンテナンス事業部(T社直営業務のうち上記車関連事業以外の事業を行う部署)に所属していた。
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<XとT社間における競業避止義務に関する合意の存在について>
★ T社就業規則32条4号には、「会社の業務上の機密および会社の不利益となる事項をほかに洩らさないこと(退職後においても同様である)」との記載が存する。
▼ T社は上記の事業導入時、機密保持の必要性から従業員との間で機密保持誓約書を取り交わした。Xは同社に対し、8年3月、機密保持・競業避止義務の確認、損害賠償の約定(いずれも退職後も含む)を記載した機密保持誓約書に署名押印して提出した。
▼ XはT社に対し、退職時の15年8月、機密保持の確認・競業避止義務の確認・損害賠償の約定(いずれも退職後も含む)を記載した機密保持誓約書に署名押印してこれを提出した。
★ 上記誓約書の内容は、「機密事項」について、「A(1)販売先、仕入先、提携先、輸入先のデータや名簿(以下略)」との記載があり、また、「在職中、B(1)~B(4)の事項を知り得る立場に在り、また技術、知識を習得できる職に在った場合は、貴社を退職した後も次の行為を行わないことを約束します。
4)貴社のフランチャイジー代理店等として開業する場合を除き、同じ商品を取り扱っているまたは取り扱う予定がある事業を無断で自ら開業、設立すること」との記載がある。
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<Xの退職後の行為について>
▼ Xは15年12月から本件口頭弁論終結時に至るまで、「Re-Flat」の屋号で、T社のインテリアリペア類似事業およびデントリペア類似事業を自ら開業して行っている。
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