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#4 「新日本科学事件」大阪地裁

2003年9月10日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第4号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 用語の解説

競業避止義務」とは、労働者が使用者の利益に反するような競業(営業上の争いをすること)をしないという義務。たとえば従業員が在職中に知り得ることとなった技術や情報をもって、退職後に元使用者の事業と競合するような事業を始めたり、同業他社に再就職したりするような場合に問題となる。

■【新日本科学(以下、S社)事件・大阪地裁判決】(2003年1月22日)

▽ <主な争点>
競業避止義務に関する合意の効力、職業選択の自由

1.事件の概要は?

本件は、S社の元社員であるXが、採用および退職の際に同社との間でした競業禁止に関する合意が公序良俗に反して無効であるから、S社を退職後に別会社に就職したことによる債務不履行に基づく損害賠償義務を負担しないとして、その義務がないことの確認を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は、製薬会社から医薬品等の開発業務を受託し、医薬品等の治験(新薬の有効性と安全性の評価を行うこと)を行っている会社である。

★ Xは、平成12年1月にS社に採用され(半年間は試用期間)、臨床開発事業本部で勤務していたが、13年9月に同社を退職した者である。


<XとS社との競業避止義務に関する合意、P社への再就職等について>

★ Xは臨床開発事業本部の一つの小グループのマネージャーの地位にあったが、部下の人事考課に関する権限は有していなかった。またXはS社が製薬会社から受託したプロジェクトのモニタリング業務に関与していた。

▼ XはS社との間で就職に際し、競業避止義務契約書および誓約書により、また退職に際し、競業避止義務に関する合意書により、S社退職後一年間以内に同社グループと競業関係にある会社に就職せず、これに違反した場合には損害賠償義務を負う旨をそれぞれ合意した。S社はXに対し、給与支給期間中、月額4000円の秘密保持手当を支給した。

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