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#339 「石油産業新聞社事件」東京地裁(再掲)

2013年7月3日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第339号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【石油産業新聞社(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2011年10月11日)

▽ <主な争点>
人事異動に伴う賃金の減額など

1.事件の概要は?

本件は、平成22年1月当時、S社の中部支局長専任の職にあったXが同年2月、同社から中部支局長専任を解かれ、それまでになかった職制である「本社編集局記者兼中部支局長」を任じられる(本件人事異動)とともに、賃金を減額されたことを不服とし、S社に対し、本件人事異動後に減額した賃金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は、液化石油ガスの専門新聞の発行、販売を目的とする会社であり、本社の他、大阪、名古屋および新潟の各地に支局を有している。

★ Xは、平成8年8月、S社に入社後、編集局次長、編集局長代理、編集局長などを経て、20年1月から中部支局長の職にある者である。

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<Xの賃金、本件人事異動等について>

★ 22年1月当時、Xは中部支局長専任であり、名古屋に常駐していた。当時のXの月例賃金は39万円(基本給29万5000円、役付手当6万円、編集手当1万円、営業手当1万5000円、業務手当1万円)であった。

▼ S社は同年2月、Xの中部支局長専任を解き、本社編集局記者兼中部支局長に任じた(以下「本件人事異動」という)。以後、S社はXの役付手当を6万円から3万円に、営業手当は1万5000円から1万円にそれぞれ減額されたものとして、Xに対し、毎月の賃金として、従前の賃金から3万5000円を減じた35万5000円を支払っている。

▼ XはS社に対し、同年3月4日付の内容証明郵便において、上記賃金減額はXの同意を得ず、むしろ反対意思が明確にされているにもかかわらず強行されたものであり、到底許されるものではない等として、未払い分を直ちに支払うよう要求した。

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