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#431 「セコム事件」東京地裁(再々掲)

2017年2月22日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第431号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【セコム(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2016年5月19日)

▽ <主な争点>
所持品検査、防犯カメラによる撮影の正当性など

1.事件の概要は?

本件は、S社の従業員であったXが同社に対し、勤務している間、雇用契約の業務内容と異なる業務を強いられたことにつき、(1)未払賃金246万円および(2)慰謝料410万円ならびに(3)出勤時と退勤時に所持品検査をされ、財布やバッグの中身を含む持ち物全てを監視カメラで撮影されたことによって、プライバシー権が侵害されたと主張して、1日につき1万円(1回5000円の検査2回分)の慰謝料1600万円の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xおよび雇用契約上の業務内容について>

★ Xは、平成20年9月、嘱託社員としてS社に入社し、主にM銀行の取引先である法人、個人を同銀行に代わって訪問する業務を担当していた者である。

★ XとS社が締結した雇用契約における業務内容は「金融機関と企業間での通帳・小切手・現金等の受け渡し業務等」とされていた。

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<契約の更新、現送業務以外の業務(補てん業務)等について>

★ XとS社との嘱託社員雇用契約は21年9月から1年ごとに6回更新された。その後、Xは27年9月、同年11月末日付の退職を申し出て、承認された。

★ Xは現送業務(契約先から預かった警送品をそれぞれの形態により指定された場所まで輸送警護する業務)のほか、金融機関や信販会社等が設置したATM等に現金やジャーナル用紙(ロールペーパー)を補充、回収する業務(補てん業務)も担当していた。

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<所持品検査、これに関する規程等について>

★ S社は現送、補てん、資金管理業務など、業務上金品を取り扱う従業員に対し、所持品検査を実施している。具体的には対象従業員の出勤時および退勤時に自身が所持している物の中身を開示させ、上着やポケットの中身を見せさせる。その様子は鍵保管庫や回収物(通帳、契約書等)の送達準備を行う作業場を撮影・記録するために設置されている防犯カメラの撮影範囲に入ることがある。

★ 嘱託社員就業規則1条には、次のとおりの定めがある。
「この規則には、S社に雇用される嘱託社員の就業に関する事項を定める。この規則およびこれに付属する雇用契約等に定めのない事項は、当社通達示達等に定めるところによる。」

★ S社安全特別守則14条には、次のとおりの定めがある。
「安全業務提供の重要性に基づいて、社員は進んで身の潔白を立証する機会を与えられ、後日不当な嫌疑を受ける等の精神的負担から常に解放される。」
「したがって、直属上司または指定された者によって行われる所持品検査については全面的に協力すること。」
「なお、社員の安全を図るため、誤解を生ずるおそれのある物品を所持する場合は、これを一時保管することがある。」

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