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#183 「リサ・パートナーズ事件」東京地裁(再掲)

2007年5月23日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第183号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【リサ・パートナーズ(以下、R社)事件・東京地裁判決】(2006年10月13日)

▽ <主な争点>
新株予約権の行使と所得税の源泉徴収

1.事件の概要は?

本件は、R社への入社に当たって同社の新株予約権割当契約を締結し、その後同権利を行使して同社の株式を取得したXが、租税特別措置法第29条の2による非課税の税制適格があり、源泉徴収義務がなかったにもかかわらず、R社がXから源泉徴収して税務署に納付したことにより、同納付額相当分の損害を被ったとして、損害賠償1870万余円(弁護士費用および遅延損害金請求を含む)をR社に対して請求したもの。

これに対し、R社はXが新株予約権割当契約を締結したときには、Xはまだ同社の従業員ではなかったことから、Xが同契約に基づいてR社の株式を取得した場合には、租税特別措置法上の所得税の非課税を受ける立場にはなく、R社がXから源泉徴収して納税した行為は適法であり、損害賠償請求を受ける立場にはないとして支払い義務を争っている。

2.前提事実および事件の経過は?

<R社およびXについて>

★ R社は投資銀行ビジネスを行う企業、不動産系投資ファンド運用会社である。

★ Xは平成15年1月、R社を訪問し、同年2月には同社におけるXの採用が内定した。その後、同年4月、XはR社との間で雇用契約を締結し、正式な従業員となった。なお、採用内定の前後、R社のA社長からXに対して、採用内定者にもストックオプションの発行を同年3月に予定している旨の連絡があった。

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<本件契約および本件契約書等について>

▼ R社は同年3月、定時株主総会および取締役会を開催し、R社ならびに同社の子会社および関連会社の取締役および従業員・入社内定者ならびに監査役に対して、ストックオプションとして新株予約権の発行し、付与することが承認可決された。

▼ 同年9月、R社から上記新株予約権を割り当てられた者らに対し、新株予約権割当契約書と確認書に氏名の記入、捺印を求める連絡が電子メールでなされ、Xにもメールがなされている。

▼ XとR社との間において、新株予約権割当契約(以下「本件契約」という)が締結されたが、X・R社間の新株予約権割当契約書(以下「本件契約書」という)によると、契約の日付は15年3月31日となっているものの、Xによる実際の本件契約書への署名・捺印は同年9月であった。

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<Xによる新株予約権の行使等について>

▼ R社は17年4月、ストックオプションの説明会を実施し、その際に具体的な権利行使の手続や税制適格について説明しているが、その中で税制適格であるのは取締役、従業員で、新株予約権発行日現在で採用内定者である者については税制非適格者であること(源泉による課税がなされること)を説明しており、全体説明のあと、Xともう1名の本件株式の新株予約権発行日現在でR社の採用内定者であった者に個別に税制非適格の源泉税について説明を行った。

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