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#477 「アスリーエイチ事件」東京地裁(再々掲)

2018年12月26日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第477号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【アスリーエイチ(以下、A社)事件・東京地裁判決】(2017年8月30日)

▽ <主な争点>
実質的に日本法人を統括することを期待し採用された従業員に対する解雇など

1.事件の概要は?

本件は、A社の元従業員であるXが平成28年6月6日付解雇の意思表示は違法無効であるとして、同社に対し(1)労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、(2)不法行為に基づき、違法な解雇による損害の賠償を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<A社およびXについて>

★ A社は、平成22年10月に設立されたコンタクトレンズ・化粧品の販売等を目的とする会社であり、28年5月時点の従業員は7名であった。

★ Xは、28年2月からA社において代表者の次の地位に当たる総合管理職兼営業部長として勤務していた者である。

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<A社の就業規則の定めについて>

★ A社の就業規則には、以下のような定めがある。

第28条(解雇)
 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することができる。
(1)勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
(2)勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。
以下略

第31条(懲戒の事由)
 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第28条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
(4)正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。


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<本件解雇から本件訴訟に至った経緯等について>

▼ 28年6月6日、A社はXに対し、解雇の意思表示をした(以下「本件解雇」という)。

▼ 同年7月1日、A社はXに対し、「Xの行為は就業規則28条1項1号、2号、31条2項4号の解雇事由に該当する」として、上記解雇を再度通知するとともに、同年6月1日から6日までの賃金10万円および解雇予告手当55万円を支払った。

▼ Xは本件解雇が違法無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めて、労働審判の申立てをしたところ、労働審判委員会は同年10月3日、A社がXに対し、解決金150万円を支払うこと、本件解雇を撤回し、合意退職していることを確認すること等を内容とする審判をした。

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