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#342 「東京都教育委員会事件」東京地裁(再掲)

2013年8月21日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第342号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【東京都教育委員会(以下、都教委)事件・東京地裁判決】(2011年10月31日)

▽ <主な争点>
コンサート公演会場に不正入場した教諭に対する免職処分など

1.事件の概要は?

本件は、東京都内の区立小学校の音楽教諭であったXがクラシックコンサートの公演を鑑賞するため、合計8回にわたり入場料を支払うことなく不正に公演会場に入場したことが地方公務員法33条の信用失墜行為に当たるとして、都教委が平成21年2月19日付で同法29条(懲戒)1項1号、3号により、Xを懲戒免職処分(本件処分)にしたところ、Xが都教委に対し、本件処分はその前提となる事実に誤認があり、また、裁量権の逸脱があり違法であると主張して、本件処分の取消しを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ X(昭和28年生)は、昭和50年4月に都教委に採用され、本件処分当時、東京都北区立A小学校の音楽専科の教諭の職にあった者である。なお、Xは本件処分のほか懲戒処分を受けたことはない。

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<本件処分に至った経緯等について>

▼ Xは平成20年9月18日、サントリーホールにおいて、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演を鑑賞するため、当日の公演チケットを持っていなかったにもかかわらず、使用済みチケットの半券を当日の公演チケットの半券であるかのように装って入口の係員に示すという方法で入場料を支払うことなく、公演会場に不正に入場した(以下「本件不正入場行為」という)。

▼ その後、Xは警察官による取り調べならびにA小学校校長、北区教育委員会および東京都教育庁人事部職員課による事情聴取を受け、本件不正入場行為の他、計7件の不正入場行為を認める旨の供述をした。

▼ 都教委は21年2月19日付でXに対し、地方公務員法29条(懲戒)1項1号、3号により、東京都北区公立学校教員の職を免ずる旨の処分をし(以下「本件処分」という)、Xは同通知書および処分説明書を受け取った。

★ 本件処分の理由は、「Xは20年9月18日、サントリーホールにおいて、ウイーン・フィルの公演を鑑賞するため、当日の公演チケットを持っていなかったにもかかわらず、入場料を支払うことなく、不正に入場した。また、Xは(1)同年5月27日、(2)6月2日、(3)同月4日、(4)同月23日、(5)8月1日、(6)9月14日および(7)同月16日、同ホールまたはミューザ川崎シンフォニーホールにおいて、ウィーン・フィル等の公演を鑑賞するため、同様の方法で、入場料を支払うことなく、公演会場に不正に入場した。このようにして、Xはウイーン・フィル等の公演を鑑賞するため、合計8回、約18万3000円相当の入場料を支払うことなく、公演会場に不正に入場した。このことは全体の奉仕者たるにふさわしくない行為であって、教育公務員としての職の信用を傷つけるとともに職全体の不名誉となるものであり、地方公務員法33条(信用失墜行為の禁止)に違反する」というものであった。

▼ Xは本件処分を不服として、21年4月、東京都人事委員会に対し、本件処分の審査請求(以下「本件審査請求」という)をした。同委員会は22年6月、本件審査請求を棄却する旨の裁決をした。

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<本件処分量定基準について>

★ 教職員の非行に対する処分量定に関し、都教委作成の「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」と題する書面(以下「本件処分量定基準」という)が存在している。

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