トップに立ちたければ、2番手につけろ。
おはようの方、おはよう。
こんにちはの方、こんにちは。
こんばんはの方、こんばんは。
「モモンガは左利き」です。
今日は、中1のときに、わたしが母から言われた言葉を紹介します。
欠席裁判。
中学に入ってすぐの5月か6月に、体育大会がありました。不幸にも、出場競技を決める学級会が開催された日にわたしは学校をお休みしていて、欠席裁判で、みんなが敬遠する「1500m走」に出場する名誉ある3人のうちのひとりに選ばれていました。
まず、1500m走なんてことばを初めて聞きました。それがどれだけ長いのか、まったくわかりません。
他の2人はバスケ部で、毎日ウォームアップで長距離を走っている自信のあるひとたち、わたしは実質帰宅部の美術部。ちなみに、美術は5段階評価の3でした。どうしても部活に入らなくてはいけない中学で、サボれるのは美術部だけだったので、絵心ないながらも、好きではない美術部を選ばざるをえなかったのです。
おっと、話が逸れました。
本番に向けての、唯一の準備。
いまとなっては、先生も、欠席してる生徒に1500m走らせるという子供たちの惨い判断を止めろよ、とおもうのですが、当時は決まったものはやらなくてはいけない時代。憂鬱ながらも、走らなくてはいけないのだ、と腹を括りました。
そこから毎日、本番に向けて少しでも長く走れるように練習をはじめる…というのが、あるべき姿ですが、わたしは「コツコツ努力する」ことが、なにより嫌いな人間です。次女なので、姉の失敗する姿を見て、いかに要領よく毎日を過ごすかしか考えていません。母からは「海老で鯛を釣ろうとするタイプ」と幼少期から言われていました。そのあとの人生で、海老で鯛はなかなか釣れないことに気付くのですが。
そんなわたしが唯一した準備は、母に「1500m、どうしたら優勝できるかな?」という相談でした。そこで母が答えたのがタイトルの、「トップに立ちたければ、2番手につけろ」。
トップは、集団をリードして、あるべき姿を見せなくてはいけないもの。長距離走でいうと、ペースメーカー。1500mもの長距離を走ったことのないわたしには、ペースなど、つくれるはずもありません。ただわたしには、練習はしないくせに、「負けず嫌い」という強みがありました。
母は、「とにかくずっとトップの子のペースに合わせてひたすら走り続け、最後のコーナーから猛ダッシュをすればいいよ」と助言しました。そんな簡単なもんじゃないだろ…とおもいながらも、とりあえずやれることはそれしかないので、そうしようと決めました。
2番手は、伸び伸びできる。
本番当日、わたしは言われた通りにぴたりとトップの後ろにつけました。先頭を走るのは身長170cm以上あって足が長い、うちのクラスのバスケ部の子。正直、はじめての1500m走はキツかったですが、なにも知らなかったのもよかったかもしれません。なにも考えずにただただ、彼女を追って走り、言われた通りにゴール直前で全力ダッシュをして、まさかの1位を獲りました。
クラス対抗なので、どちらが1位になっても得点は変わりません。入学して数ヶ月、クラスメイトとは、欠席裁判で1500m走を押し付けられるような関係性だったので、わたしが優勝したところで、特に話題にもなりませんでした。
ただ、わたしには、自信と、勝ち抜き方が残りました。
これは、どんな場面にも通じる手法だな、と考えています。
それからおよそ10年後、就活でご縁があり、いまだに働いているのも、業界2番手の企業。単純にトップに採用されなかっただけなのですが、OG訪問にくる就活生には、「トップは王道を進まなくちゃいけない責任があるけど、2番手は自由。同じ手は使えず他の手段で逆転を狙うから、とても自由で、わたしには性格的にあっていたんだ。」と、偉そうに説明しています。
半分見栄ですが半分正しくて、わたしはトップになると調子に乗るタイプなので、2番手からトップを狙うことで、自由ながらも、それなりに手を抜かずに生きているかな、と感じます。
ちなみに、学生時代の生徒会は副会長、社会人になってから従業員組合では副委員長でした。2番とご縁があり、今日もトップの後ろから、虎視眈々と上を狙っています。