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バカの牛河が解説する、痴漢被害と儀礼的無関心(秩序を乱す者/目に見えない悪)

へへへ、また会いやしたね。

本日はですね、不肖牛河が痴漢と痴漢被害者、痴漢冤罪被害者と儀礼的無関心の構造について誠心誠意、解説させていただきます。またバカの牛河がロクでもない話を持ち込みやがったな、なんて思わないでくださいね。

先日ですね、たまの休みに家でぼーっとしてたんですね。カミさんも愛想尽かして出ていっちまったし、広い部屋で寝そべりながら、テレビをつけてボケーっとね。

すると、ワイドショーだかニュースステーションだかの出演者が皆一様に怒っているんですね。

私も人の怒りってのを仕事上よく目にしますが、ありゃ嫌なもんです。慣れません。

一体みんな何をそんなに怒っているんだろう、と疑問を持ちました、わたし。そしてわかったんです。どうやらみんなチカンのことで怒っているようだぞ、と。

チカンって言っても化学のやつじゃありませんよ。電車のやつです。

どうやらテレビの中の連中は、結局チカンが一番悪い、と結論したようです。
わたしもそれを聞いて、まあその通りだな、と思ったんですけどね、何かが引っかかるんです。職業上のカンとでもいいましょうか。わたし必死で考えましたよ。みっともない福助頭をひねって、いっぱい考えました。

一番悪いのは誰かってね岡田さん、そりゃぁ痴漢に決まってます。こいつはとんだケツの穴野郎です。

おっと、すいません。下品なのはいけませんね。

悪いのは確かなんですが、こいつには実体がないんですね。幽霊なんです。

ちょいとばかし想像してみてください、岡田さん。あなたがクミコさんと、あるお屋敷に行きました。そこの主人が昼飯をご馳走してくれるってんです。
本当はそんなとこ行きたくないんですが、義理は欠かせませんからね。

お屋敷に着くと、食事が用意してあるからと真っ暗な部屋に通されました。どうやら他にも招待された人間がたくさんいるようですが、誰も口一つききやしません。儀礼的無関心を決め込んでいます。

そこでですね、岡田さん。あなたがちょっと目を離した隙に、クミコさんが何者かに手を噛まれたんですね。

こいつに噛まれるとね、恐怖で声が出なくなり、助けを求めることもできやしない、おまけに自尊心を薄汚い靴の底で踏みにじられているような、ひどい気分になってくる。

しばらくするとね、はす向かいの女性も手を噛まれたって、そう言うんです。
どうやら女性を狙って噛み付く、チンケな生き物のようです。

その事を主人に伝えたところ、現行犯でないと追い出せないから、捕まえて連れてきてくれってね、そう言うんです。警察に突き出すからってね。儀礼的無関心たちは黙々と飯を食っています。そう訓練されているんです。

こういう閉鎖的な空間で神経を疲弊させているとね、その内にお互いがお互いを憎み始めるんです。

女を招待するからこうなるんだとか、手を噛まれたくらいでいちいち騒ぐなとか、噛みついたのはどうせ男だから男の中に犯人がいるはずだ、ってね。

その内に噛み付かれた女の右隣にいたなんの罪もない儀礼的無関心が主人に突き出されました。こいつは火あぶりにされて殺されました。他の儀礼的無関心達は黙々と飯を食っています。そう訓練されているんです。

その内に主人は、女性達を隣の部屋に通しました。こちらは女性専用の部屋になりますってね。
初めは女性達もほっと胸をなでおろして昼飯を食っていましたが、しばらくすると元の部屋の儀礼的無関心の内の何人かが、隣の部屋に行く権利を行使し始めるんですね。

「我々も招待状を受け取っている。義理がある。こちらの部屋で食事をする権利がある」

ってね。くだらん主張ではありますがね、岡田さんもご存知のように、法律で禁止されていないのであれば、法治国家においてはこれを退けることはできません。

おまけに具合の悪いことに、主人が「確かに強制的に出て行ってもらうことはできない」ってね、そう言うんです。

また新たな争いが出てきましたね。今度はこの男たちと女たちが憎しみ合います。本題から遠ざかっていくんです。
なぜ電気をつけないのか、誰も疑問に思いませんし、女性と男性の部屋を完全分離するべきではないかと抗議もしません。

しかしですね、岡田さん。先ほども牛河、申しましたように、一番悪いのは痴漢なんです。それはわかります。

でもね、こいつらは実体がない幽霊なんです。こいつを一匹排除したところで、また何処からともなく現れるんです。ゴキブリみたいなもんです。一匹見つけたら百匹いるんです。こいつを排除する事は一見、理に適った行為であるように見えますがね、果てしないモグラ叩きです。

ところで岡田さんは、スーパーマーケットには行かれますか?あすこにも秩序を乱す者がいますね。万引きってやつです。

こいつらは自己正当化ばかり口にする卑小な存在ですがね、そんな連中の盗みでも、積もれば莫大な損害を被ります。塵も積もれば山となる。Q.E.D.

その時に店主はどうするでしょうか?排除をしますね。自分だけならともかく、従業員もおまんま食えなくなっちゃいますからね、それは困る。だから徹底的に排除するんです。

監視カメラをつけたり、防犯タグを付けたり、警備員を雇ったりと、金をかけます。長期的な被害を考えたら、多少金をかけても防衛します。パソコンにコンピューターウィルスセキュリティソフトを入れるのと同じです。

その結果、万引きはいなくなり、店主もお客も快適に生活できます。店主が責任を持って課題解決に取り組んだんですね。何しろ自分のとこで飼ってるチンケな生き物が悪さをしたわけですから。


おっと、脱線しました。つまらん冗談を言ってるわけじゃないです。

さて、彼ら鉄道会社は、言い方は悪いですけどね、自分らの庭で放し飼いになって悪さしている痴漢を排除するという責任を果たしているんでしょうか?

捕獲は客任せ、捕まえたら中身を確認もせずに渡されたゴミをゴミ箱に捨てるように警察に突き出して終わり。
やったかどうかなんてうちは知らないよ、あとは警察の人と話してね、こういうシステムです。

それでもね、みんななぜか感謝しているんです。駅員さん助けてくださってありがとうございます、専用車両を作ってくれてありがとうございます、ってね。

そして車両を増やすこともなく、名称を変えるだけで法律の問題もクリアにすることなく、権利を主張する儀礼的無関心の混入には丸め込まれて引き下がる消極性です。
わたしもチンケな男ですけどね、これは流石に怠慢としか思えません。

現代のような形態で、通勤や通学に鉄道が使われるようになって、何年経ちますか?
バカの牛河には詳しいことはわかりませんが、仮に50年としましょう。50年間痴漢を放置してきたような会社が、社会的正義から対策に乗り出すと思いますか?

何万人の女が何十万件の痴漢被害にあったって、何百人の罪もない儀礼的無関心たちが火あぶりにされたって、鉄道会社は屁でもないんですよ。損をしないんです。だから必死にならないんです。

本来はね、全員に快適な公共交通機関の利用のために、利用客の多数が抗議の不乗車運動でもすりゃいいんですがね、そんなことできやしません。鉄道会社もね、知ってるんです。できないってことが。だから現状にあぐらかいてんです。

ねえ、岡田さん。悪っていうのは時として、その姿を変えて現れるってね、誰か言ってましたね。ねえ、岡田さん。いつだって胴元はね、損をしないようにできてるんです。

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