宇多田ドレミ

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  • 読書感想文

    読んだ本の読書感想文を中心に公開しています。 あくまでも主観・雑感で、作者様の意図するところとかけ離れている場合もありますのでご了承ください。

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    ナラティヴたちの墓場

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    いろいろな作品のレビューを垂れ流します。 読書感想文との優劣はありません。 いずれも作者に敬意を払った上でのノートです。

最近の記事

『かがみの孤城』にみる不登校者の世界の見え方・見られ方

2001年WHOにより採択されたICFモデル(国際生活機能分類)によると、前段のICIDHが病気や障害をマイナスのものとして捉え一方向的に見ていた(Aという障害があるからBの状態になりゆえにCという不利が生じる)のに対し、同モデルは人の生活は相互関係の中に在り、「生きることの全体像を捉える」というのが大枠の概念だそうだ。ざっくりと要約すると—— ①状態や現象は、環境と相互に関連し合う ②障害や健康状態は背景との相互関連によりプラスにもマイナスにも転換される ③人の生活(人生

    • 三の法則について

      「三の法則」  車の運転なんかをしていると顕著なのですが、一度ヒヤリや不愉快な目にあうとその日は三たび同じような不愉快が立て続けに襲来しがちなのです。  それはたとえば割り込みであったり不躾なクラクションであったりノーウインカーの車線変更であったり車間詰めであったり信号無視の自転車であったりです。  それに加え、渋滞で間に合うはずの閉店時間に間に合わないなどのオプションが付いてきます。  そういったわけで一度不愉快に襲われると「ヤダな。あと二回不愉快な思いをするのか」と思うわ

      • 夫のちんぽが入らないこと×足の小指をぶつけないこと

         私はしょっちゅう、何かの角に足の小指をぶつける。しょっちゅうとは言っても一年を通してのしょっちゅうではなくて、時期の限定された、限局的なしょっちゅうである。そしてそれがどの時期に集中して起こるのかは思い出せない。素足ですごし、うだる暑さに注意が散漫になる夏季かと思えばそのような気もするし、鈍く縮こまった身体がバランスを欠き、末梢神経が痛みを感じやすくなっている冬季ではないかと言われれば「きっとそうだ」とあっけなく得心してしまうことであろう。わが家には箪笥がないので、その多く

        • 『アサッテの人』読書レビュー

           扱っている題材がかなり入り組んでおり、読み進めるのに若干の不安はあったものの、文章が非常に読みやすいこともあって作品としては楽しめた。文庫版にある著者のあとがきを読み、この作品が誕生した背景も知った。  主人公である「叔父」を取り巻く不遇はいたたまれないものであるが、結末は良し悪しに関わらず、いっさい描かれていない。そもそもエンタメ作品ではないので取ってつけたような収拾がないのは然るべきだと思う。  しかしながらこの作品の骨子でもある「『凡庸』の枠外に飛び回る軌道不明な

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        記事

          二十年間思い違いをしていたことについて(再考:ノルウェイの森)

           前回、J.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』について思うところを書いた。  初読が同時期にあたる作品に、村上春樹氏の『ノルウェイの森』がある。  こちらの作品に関してはおよそ3〜5年に一度のペースで読んでおり、個人的には殿堂入りを果たした作品でもある。  当作品については読み返すたびに共感する人物が移ろい、自分自身の成長も伴い見えなかった一人一人の考えや思いが色を帯び、リアリティが増してくる。  奇しくも今年、冒頭のボーイング747の機内で『混乱』した主人公

          二十年間思い違いをしていたことについて(再考:ノルウェイの森)

          アルベール・カミュ『ペスト』 感想文

          施設勤めの冬は長い。特に入所やグループホームなど生活の場では、永遠に春は来ないんじゃないかと思うほどの緊迫感に、日々さらされる。 寒気が流れ出す時期になると、感染性疾患の書類が配られる。 「ワクチンを打ちなさい」 「うがい手洗い、アルコール消毒、次亜塩素酸水の準備を徹底しなさい」 「微熱があったら通所させないで」 「通所施設でインフルが流行ったらしばらく閉所し施設職員は休みます」 「グループホーム入所者はホームで安静にしていてください。いえ、隔離ではありません。隔離という

          アルベール・カミュ『ペスト』 感想文

          エミール・ゾラ『居酒屋』 感想文

          すごい小説を知ってしまった。 19世紀の小説に、こんなにもドラマティックでリアリスティックでアルコールとすえた臭いのする世界があったのかと驚いた。  主人公のジェルヴェーズという女性は、とても真面目で、おそらく巡り合った人々の選択さえ誤らなければ、十分幸せになる器量を持った女性だったのだと思う。  少女時代から生活を共にした元夫のランチエの失踪から、共に移り住んだ街で新たに出会った、のちに夫となるクーポー。彼女は意気揚々と計画を立て、自らの店を構えるも、仕事中の怪我をきっ

          エミール・ゾラ『居酒屋』 感想文

          チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』 感想文

           高齢者の運転による交通事故【の報道】が相次いでいる。  事故のニュースがTLに流れるたびに、待ってましたと言わんばかりに罵倒と免許証返納の言葉が飛び交う。  一昨年、祖母が更新時期を機に免許証を自主返納した。祖母は自動車免許取得が遅かった。65歳を過ぎてから猛勉強し、何度も乗り越し、試験に失敗しながら期限ギリギリに取得をすることができた。(念のため記すと最後まで無事故無違反の優良運転手)  目的は夫(亡祖父)の通院などの必要性を感じたためである。バスは数時間に一本、遠い

          チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』 感想文

          村上春樹『アンダーグラウンド』 感想文

          本書を読むにあたり、いくつかの戸惑いがあった。 1)この分厚い本を果たして読了できるだろうか? 2)個人的な話ではあるが、私は物語にある種の追体験をしてしまう傾向にあるため、ここに記されたリアルに対して自分の心を保つことができるだろうか? 3)1)〜2)を踏まえた上で、そもそも読むこと(知ること)に意味はあるのだろうか? ということである。 1995年3月20日、私はテレビの中継で事件を知った。四半世紀近く前の記憶なので完全に一致しているとは断言できないが、「オウム」「地下

          村上春樹『アンダーグラウンド』 感想文

          点と線と過去と今と男と女と交わらない欠乏欲求について

          1000文字小説を書きました。 点と線と今日と今と男と女と交わらない欠乏欲求がテーマです。 たぶん1000万円の価値があります。 東京都の最低賃金が985円なので、1分に換算すると16.4円です。 1分で読み終わるこいつを609,756人が読めば1000万円の価値という計算です。ありがとうございます。

          点と線と過去と今と男と女と交わらない欠乏欲求について

          『環境型セクハラと献血PRぱいぱい消費問題についてグイグイ首を突っ込んでみた結果…』

           Twitterのトレンドにて環境型セクハラという文字とともに女性と思われるキャラクターの、極端に胸の強調されたアニメ画を目にした。厳密には目にしたあとスルーしようと目を逸らしたわけだが、逸らした先の方向で<環境型セクハラの象徴>を前に争う人々の姿が飛び込んできて、四面楚歌という事態に陥ったのであった。嘘だけど。  四面楚歌になった私はなんとか自分の身を守るため、武器を片手に恐る恐る辺りを見回してみたのだが、どちらに向けて武器を振るうべきなのかがよくわからなくなってしまった

          『環境型セクハラと献血PRぱいぱい消費問題についてグイグイ首を突っ込んでみた結果…』

          The Beatles『In My Life』ピアノソロにまつわる妄想話

           ドレスコーズの志磨遼平さんが某ラジオ番組にゲスト出演した際、ビートルズのこぼれ話をしていました。端的に抜粋すると『A Day In The Life』という曲にまつわるエピソードで、エンディングのEコードを世界一長い音符にしたいという、言うなれば昨今のyoutuberにも通じる遊び心を実現させるため、音の減衰に合わせフェーダーの増幅を用いることで力技的に実現したというもので、これはなかなか面白い話でした。  個人的に同曲はビートルズ史上、そして二十世紀のポピュラーミュージ

          The Beatles『In My Life』ピアノソロにまつわる妄想話

          三島由紀夫『金閣寺』 感想文

          高校生の頃、青い衝動に突き動かされ世に名作と呼ばれる文学作品をいくつか買い揃えた。それは『罪と罰』であり『人間失格』であり『仮面の告白』であった。 言うまでもないが、読書経験の浅い高校生にこれらを満足に読み進められるわけもなく、ページ数は少なく、文体もさほど難解でない『人間失格』を読了するのが関の山であった。  手元に『仮面の告白』を置く私を見るにつけ、父は母に「あの子は大丈夫だろうか?」と漏らしたと言う。 なにが「大丈夫」なのかは未だにわからないが、あの時、息子として

          三島由紀夫『金閣寺』 感想文

          オペラント条件付けに支配されたパチンコ依存症の積極的解決法とは?

          「ある種のノイローゼ状態から直ちに脱却するためには、さらに依存度の高い別のノイローゼで上書きする必要がある。なぜならば多くの場合、ノイローゼの目は一方向しか見つめることができないからだ」 ギャンブル依存、ことパチンコ/パチスロ依存症の病みは根深い。 ギャンブル依存症の数は70万人とも320万人とも言われており、パチンコ/パチスロにおいては、規制強化とメーカーの抜け道作りのイタチごっこであるという現状である。 さて、人がパチンコ依存に陥るメカニズムには、(意図的か否かに関

          オペラント条件付けに支配されたパチンコ依存症の積極的解決法とは?

          バカの牛河が解説する、痴漢被害と儀礼的無関心(秩序を乱す者/目に見えない悪)

          へへへ、また会いやしたね。 本日はですね、不肖牛河が痴漢と痴漢被害者、痴漢冤罪被害者と儀礼的無関心の構造について誠心誠意、解説させていただきます。またバカの牛河がロクでもない話を持ち込みやがったな、なんて思わないでくださいね。 先日ですね、たまの休みに家でぼーっとしてたんですね。カミさんも愛想尽かして出ていっちまったし、広い部屋で寝そべりながら、テレビをつけてボケーっとね。 すると、ワイドショーだかニュースステーションだかの出演者が皆一様に怒っているんですね。 私も人

          バカの牛河が解説する、痴漢被害と儀礼的無関心(秩序を乱す者/目に見えない悪)

          歯科衛生に見る、現代社会における対人不和の本態とは?

          本日は2/14、バレンタインデイです。 今年は、某有名外資系チョコレートメーカーによるアンチテーゼに、某駄菓子メーカーがメンチを切るというヒヤッとする現象も見られました。 まるでドーベルマンに威嚇をする小型犬を見ているようでした。弱肉強食の縮図です。 たしかに、女性の経済的負担、精神的重圧という側面から見ても、義理チョコ文化は廃止されてしかるべきなのかもしれません。 バレンタインデーには男性は、女性を見かけたら「義理チョコ、ムリしないで」と向こう10年は伝えるべきだと思

          歯科衛生に見る、現代社会における対人不和の本態とは?