リコリス・リコイル 第5話の考察(前編)
ネタバレ注意!
リコリス・リコイル 第5話「So far, so good」の考察を書きます。
例の件についての文章が長くなってしまったので、いったん前編として置いておきます。
TVアニメ『リコリス・リコイル』予告動画 #05「So far, so good」
2022/7/26 (57秒)
予告のラストでエコーかけて台詞繰り返したの、笑ってしまったw
TVアニメ『リコリス・リコイル』 #05「So far, so good」
2022/8/6頃まで視聴可 (25分)
<So far, so good>
タイトルの「So far, so good」は、今のところは順調だ、の意味。不穏ですね……これからどうなるやら。
ちなみに「So far, so good?」と疑問形にして語尾を上げると「ここまでは分かった?」と確認する意味になるそうです。(下記リンク先参照)
<ブリーフィング、ALS>
千束(ちさと)がめっちゃご機嫌で、やる気を見せてます。
たきな達はもう概要を知っているようなので、このブリーフィングは千束がリコリコの皆を無理やり集めて開いたんじゃないかな。
だから、依頼人の松下さんが罹っている筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)という難病の名前を、千束が読めず、くるみが読めたのも、事前予習を怠るほど千束が舞い上がってたってこと。
いちおうボディーガード任務ではありますが、日ごろの殺伐とした撃ち合いから離れた観光案内が楽しみでたまらなかったのでしょう。可愛い。
リコリス・リコイルの世界ではALSの治療法が進んでいる可能性がありますね。患者支援システムとして、脳波を読み取って合成音声に変換する意思疎通用の装置なども実用化されていて、違和感なしに受け入れられていることがうかがえます。
……実際にはダミーだったのですが。展開を見るに、黒服のボディーガードもアラン機関の手配した人員だったのか……
<人工心臓>
そして、衝撃の事実。
千束(ちさと)が人工心臓だとぉ!?
いやあ、全く想像もしてなかった。
これはぶっこんで来たなあ……リアクション動画撮ってる実況者の方々、軒並みこのシーンで呆然としてました。たきな同様に置いてきぼりにされて、気もそぞろになっちゃうのも無理ありません。
人工心臓について考察していきましょう。
・きっかけは、病気か事故か?
千束はDAに入っているので孤児のはずです。何らかの施設で保護され、健康診断で心臓病が発覚し、アラン機関がその情報をもとに人工心臓を作って与えた……という筋書きがしっくりきます。
もとは健康だったが、突発事故で人工心臓に交換するほどのダメージを負ったのだ……とはちょっと考えにくいですね。普通はそれって即死でしょう。また人工心臓は、必要だからと言ってすぐに用意できるものではありません。既製品でも個人用に調整が必要なはずで、突発事故に対応できる代物ではないと思います(いくらアラン機関の手回しが良くても)。
旧電波塔の事件で人工心臓が必要になった……という考察も見ましたが、上記の理由で私は否定的です。アラン機関が旧電波塔の崩落に深く絡んでいてというならワンチャンあり得るかも、ぐらい。
・人工心臓は、機械製か生体製か?
未来の人工臓器技術を想定してよいなら、たとえばiPS細胞と3Dプリンターなどを用いて生体組織製の人工心臓も作れるはずです。この場合、もとの心臓を模倣して筋肉収縮で血液を拍動的に送り出すタイプ以外は考えにくい。弁が必要であり、必ず心音が鳴るのではないかと。
機械製であることに異論はないでしょう。
・鳴らない心音
はたして、心音のない人工心臓はあるのでしょうか。弁が開閉したり、血流状態が変化するなら、それが心音として聞こえるはずですが……
実例があるようです。
人工心臓には「拍動型」と「連続流型」の二つがあります。
「拍動型」は、普通の心臓と同じように、血液を吸い込んで溜めてから送り出す容積ポンプを使います。
「連続流型」は、羽根車やプロペラを回転させるタービンを使って、拍動なしに連続的に血液を送り出す非容積ポンプを使います。
この二つのうち静粛性能が高いのは、もちろん「連続流」型でしょう。
上記のサイトでの解説では、次期世代の人工心臓として「磁気浮上技術」を使うことで、人工心臓内から接触する箇所を持つ機械部品を無くすことが可能だと書いています。すると大幅に人工心臓の機械的寿命が延びるとか。
この延長線上に、リコリス・リコイル世界でのアラン機関の人工心臓もあるのではないでしょうか。
・メンテナンスは必要?
現実の人工心臓では、定期的にメンテナンスが必要になるはず。
しかし千束の場合、アラン機関は支援した相手との接触を禁じているのですから、定期的メンテナンスができません。アラン機関側からDAへそんな簡単に技術供与もしないでしょうし……
となると、千束の人工心臓はメンテナンスフリーなのでは?
しかも、状態に応じて血液拍出量などを調整する必要もあるし……AIでも搭載してるのかな。血管との接合部は、成長に際して経年劣化しないのか……あと血栓防止のための服薬も必要なさそう……etc.
などと色々考えると、間違いなくアラン機関のオーバーテクノロジー。
・外部から介入するギミックはある?
否定できないのが辛いところ。
遠隔操作で停止コード入力とかは普通にありそうで嫌なんですよね……派手なギミックは必要なくて、電源落とすだけで事足りるし。
阻止できる技術を持ってるのは、くるみだけな気が。
前編のまとめ
リコリス・リコイルの物語を、分かっている範囲で時系列で追ってみます。推論や想像もたくさん入っているので、あまり信じすぎないように。
【過去】
・アラン機関は、幼少時に心臓病だった孤児の千束(ちさと)に〈殺しの天才〉を見出し、人工心臓を与えた。
・吉松シンジは、そのことを伝えて千束にフクロウのブローチを渡したが、幼い頃でしかも一瞬のことだった。
・旧電波塔の事件。千束が伝説のリコリスとなる。この事件後、千束はミカとともに喫茶リコリコに異動する。シンジはミカの前から姿を消す。
・ミカは、千束に非殺傷弾を渡して、千束の〈不殺〉方針を助ける。
【現在】
・たきなが仲間を救うため規律違反。喫茶リコリコに転属となる。
・千束、初めての相棒に大喜び。たきなに寄り添い、心を開かせていく。
・吉松シンジ、1000丁の銃を取引して真島に渡す。DAを相手取った作戦行動だが、背景の意図はまだ不明。DAの存在を炙りだして、作中世界の日本が虚実にまみれていることを暴くため? その作戦行動中に、千束がリコリスとして活動していると知る。シンジはウォールナットのマンションを爆破し、リコリコの存在を突き止めて現れる(1話)。
・ウォールナット(くるみ)、リコリコに救援要請。千束・たきなと逃走を図ると見せかけて、ミカ・ミズキとともに偽死作戦を決行。くるみはリコリコに匿われる。シンジがミカに探りを入れる(2話)。
・たきな、千束のバディとなる(3話)。
・たきな、千束と買物、喫茶店、水族館デート。
・シンジ、ミカとバーで飲んで「約束」について語る。シンジは、千束を〈殺しの天才〉として世に出すことこそ「約束」だと考えている。ミカは、シンジの目的を知ったうえで嘘をついている。
・真島が地下鉄でテロを決行。リコリスの反撃で仲間は全滅するが、真島だけは地下を爆破して生き延びる。(4話)
・シンジ、部下を通じてサイレント・ジンに松下殺しを依頼。喫茶リコリコには、遠隔操作した「松下」を送り込んで、千束・たきなに東京観光案内をさせる。サイレント・ジンと千束・たきなをぶつけて、千束にジンを殺させようとするが、千束の不殺にかける意志を知って作戦を終了。ミカは、騒動の裏にシンジがいると気づく。
・真島がリコリスを狩り始める。(5話)
おおまかに、こんな流れ?
DAはテロを隠蔽しながら真島一派を制圧する必要に迫られており、真島にゲリラ的に出没されるとかなり不利。
ここに喫茶リコリコがどう絡むかという話だと……別働部隊として情報収集・遊撃を担当させられて、知らぬ間に本丸に迫ってしまうパターンとか。千束の不殺を揺るがすための仕掛けとかシンジがやってきそうで。鬱展開は考えたくないんだけどな……ただ、最終話近くで、千束とたきなの対決は絶対あると思う。平和に終わってくれ……