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左馬の将棋備忘録 第二回
※トップ画像は、将棋ソフトとの対局図です。問題図面そのまま。
10月24日は、「文鳥の日」「マーガリンの日」。
vocanote的には、
初音ミクオリジナル「朝焼けのうた」(最新版)
2007/10/26投稿、黎明期のバラードマスター、文鳥(ふみどり)Pさんの名作を……とも考えました。しかし、もう少し疲れてなくて落ち着いたときに紹介したかったので、今回は見送ります。
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今回は、次の一手問題です。
【次の一手】
<問題図>(△8二銀打まで)
(盤面の駒位置を示す座標の数字は後入れのため歪んでいます。許して)
(上と同一局面です。持ち駒はこちらを参照)
終盤、先手玉に詰みなしと読んだ後手CPUが、一手詰みを逃れるべく、穴熊玉をカバーするため、△8二銀と最後の持ち駒を打ったところです。
悪あがきにも見えますが、先手が後手玉を寄せきれなかった場合……
たとえば△9五歩と銀を取られるだけでも、先手玉に防ぎにくい詰めろがかかってしまいます。▲9五同歩は△8七飛成▲同玉△7七馬以下の即詰み。遠くから後手の1一馬が狙っていることに注意。
では、▲7一金と打って、次に▲8一金または龍までの詰めろをかけても△同銀と取られ、金を渡したことで、これが△8七飛成以下の先手玉への詰めろとなり逆転されてしまいます。金駒を渡したら、もう後手玉を寄せきらないといけない。
手をこまねいていると、後手からは△9五歩だけでなく、△7三金と引いて守りを固めて詰めろをシャットアウトする手段もあるので、今この瞬間が最後のチャンスです。
幸い持ち駒は、角金2桂2香歩5と豊富。良い手がありました。
(解答は下にスクロール)
<解答図>(▲9三桂打まで)
(解答図は切貼りで合成してます。以下も同様)
▲9三桂と放り込むのが絶妙な「焦点の捨て駒」。
(※銀・桂・香が3つとも利いている(=動けて、そこに相手の駒があれば取れる)場所に捨てるので「焦点」と言います。将棋手筋には頻出)
次に▲8一桂成または龍までの詰めろなので、持ち駒がない後手はこの桂馬を取って受けざるを得ませんが……
(1)△同桂は、空いた隙間に▲8一金打で即詰み。先手勝ちです。
(2)△同銀には▲7一金と張りつき、打った金が後手銀で取られなくなったため、次の▲8一金または龍の詰めろを受けることができません。△8七飛成▲同玉△7七馬と迫られても、▲9七玉と端に逃げておけば桂香だけでは詰まず、後手に金駒が無いため、これも先手勝ちです。
(3)残るは△同香のみで、一見してこれで受かってるかのように見えますが、上記と同様に▲7一金と打ってみると……?
<途中図>(▲9三桂打△同香▲7一金打まで)
(切貼りが荒い……(;^ω^))
▲7一金と打った局面では、やはり▲8一龍(または▲8一金~▲8二金)までの詰めろがあります。桂馬しか持ち駒のない後手が受けるには、△同銀と金を取るしかありませんが、
<終了図>(▲7一金打△同銀▲9二金打まで)
香車が移動したことで9二地点にスペースが出来ており、▲9二金打と頭金までの詰みとなります。(▲9二香打でも詰み)
というわけで、▲9三桂で先手の勝ちとなりました。
焦点の捨て駒を知っていれば、簡単な問題でしたね……
難易度としては初級クラス。
しかし、解答図の盤面切貼りが下手っぴ……柿木将棋とか使って盤面を構成すればよかったかなあ。勉強しておきます。ではまた。
(追記)
後から見直しますと問題図で、▲6二角打として、次に▲8二龍△同玉▲7一銀打以下の詰みを狙うのもかなり厳しそうです。
しかしこの場合、自玉との兼ね合いで、△8七飛成▲同玉△7一香! と「相手の打ちたいところに打て」の格言通りに7一地点を埋められてしまいます。これに対して、
(a)▲同角成△同銀▲同龍なら、△7七馬とされて、▲9七玉なら△7九角打▲9八玉△8八角成、▲9八玉なら△8七角打▲9七玉△9六角成!▲同玉△9五歩以下の詰みで、先手負け。
(b)▲同龍△同銀△同角成なら、△7七馬とされて、▲9八玉なら△9九飛打まで、▲9七玉なら△8七飛打▲9八玉△8八飛成までの詰みで、先手負け。
△7一香に対しては、(c)▲8二龍△同玉▲7一角成と攻めるのが最も良さそうです。△7三玉なら▲7二金△6四玉▲6六香!△同馬(または成桂)▲5三馬△6五玉▲5四銀打まで退路封鎖の手筋があるため詰み、先手の勝ち。△7一同玉には▲4一飛打△7二玉▲1一飛成と後手の馬を抜いて、▲6一角~▲8三角成の筋が残っているので、僅差で勝てなくもないか。飛車と角を渡しましたが、△7七飛打には▲9八玉△8七角打▲9九玉△7九飛成▲8九桂!(他の合駒は取られて詰み)でギリギリ受かっています。
ただし▲9三桂がとても明快なだけに、次の一手問題としては▲6二角打を正解とはしづらいですね……