リコリス・リコイル 第5話の考察(後編)
ネタバレ注意!
**
5話の考察後編の前に、公式の世界観を見ておきましょう。
<おしえて!『リコリス・リコイル』>
おしえて!『リコリス・リコイル』①:「リコリス」ってなに?
2022/7/20 (1分6秒)
おしえて!『リコリス・リコイル』②:「DA」ってなに?
2022/7/20 (1分1秒)
おしえて!『リコリス・リコイル』③:「喫茶リコリコ」ってなに?
2022/7/20 (1分4秒)
おしえて!『リコリス・リコイル』④:「電波塔事件」ってなに?
2022/7/20 (1分13秒)
喫茶リコリコの登場人物たちの会話で、世界観の要点を説明してくれてます。ここから、旧電波塔の事件は10年前で、当時7歳の千束(ちさと)が無双してテロリストを倒し、伝説のリコリスになった……というのが”関係者への表向きの説明”としては確定という事になります。
個人的には、DAが「政府の統制を離れた」独立治安維持組織で、政府よりも強力な特権を持っている、という設定が怖すぎるw 政府の秘密組織ですらなかった……活動資金として税金使ってませんように。公安とも警察とも違う組織、要するに私設の軍隊ですよ。しかもマーダーライセンス。どこの誰が許可出したんでしょ??? 治安の縄張り巡って、裏ではいくらでも悶着や衝突が起きてそうだ……二次創作ネタになりそう。
DAは、東京だけでなく日本各地に支部があるでしょうから、やろうとすれば秘密裏にクーデターを起こして日本の実権掌握すらできそうです。今はまだやってないだけで。作中日本の表向きの治安は、塀の上に乗っているハンプティ・ダンプティみたいなもの。DAの置かれた状況や、DA指導部の気分次第で、転がり落ちた卵のごとく砕け散るでしょう。
(現状でも悪・即・斬で危険とみなした犯罪者を即処分する、司法?裁判?なにそれおいしいの状態のディストピアなので、今さらではありますが)
まあ、現代日本を模しているだけで、TRPGのシャドウランみたいな世界観だと思えば問題ありません。
ファンタジーに野暮なツッコミはやめておきましょう。
**
第5話の考察、後編です。
<サイレント・ジン>
くるみ
あっさり正体が割れてるプロの殺し屋()、サイレント・ジン兄貴。ですけど、くるみの裏稼業にも精通する知識力が凄かったのだと思います。くるみがいなかったらジンの奇襲を許していたでしょうし、2話と同様に「松下」さんを撃たれてたかも。くるみをスカウトしてて本当に良かった……
ミズキ
ジン兄貴は、標的と障害以外は命を奪わないというポリシーなのかな。依頼人の裏取りしないのを考え併せると、ロマンチストな殺し屋だこと。
だとすると、障害にすらカウントされてないミズキさん(´;ω;`)
たきな
ジン兄貴はたきなに遭遇した時、躊躇なく後ろから撃ってます。水上バスを双眼鏡で見た時点で、側にいる千束とたきなが武装護衛だと見抜いてたのかな。立ち居振る舞いから見当をつけた? 千束とたきなは二人とも護衛任務の経験は少なそうだし、目立たずに護衛するスキルまでは持ってなさそう。
建造物内での射撃追跡戦だと、追手側は常にクリアリングしながら移動しないと危険なので、どうしても遅れがちになるそうです。なのに、正確に追ってくるたきな。これでジン兄貴は発信機に気付いたんじゃないかな。それ以前に気付いてたなら、あえて外さない理由もないし……
東京駅にて、たきなのダイブ。派手にやるなあ。事前に落下地点の当たりをつけといたんだろうけど、普通は死ぬ。良い子はマネしてはいけません。それにしても、走りながら相手の銃だけ狙い撃ちとか、恐るべき精度。たきなにしか出来ない気が。つくづくDAは見る目がないんじゃない? でも、見る目が無かったからこそ、ちさたきが生まれたわけで、複雑。
逃走中のたきなの足に銃弾が擦過したシーン。障害と見定めた相手にジン兄貴が手を抜くとも思えないので、これは殺す気で撃ってるはずです。殺さないようにわざと足を狙ったわけではない。大腿動脈とか当たったら普通に致命傷だし。あれは実際に大ピンチだったと思います。
千束
そして、千束(ちさと)の”殴り撃ち”。トリコの釘パンチ、と言われてたアレ。非殺傷弾ではなくあえて実弾を使ったのは、防弾コートの上から叩きこんだ時のパワー不足を考えてのことなんでしょう。
現実でやったら、非殺傷弾でもかなり殺意の高い攻撃になっちゃう。着弾の衝撃だけで内臓がズタボロになりそう。
でも、未来の防弾コートがどの程度の性能を持ってるのかは不明。ジン兄貴の使う防弾コートが「衝撃すら軽減する鬼性能」だと考える方が良いかもしれません。千束は、防弾コートの上から非殺傷弾が通用しなかった実戦経験を持ってたのかも? どんな修羅場をくぐってきたんだよ……
あと、不殺のはずの千束が実弾を携帯してたのは、対人用としてではなく、固定目標物の破壊用ってことも考えられます。2話の護衛任務で、何発も撃たないと車の窓ガラスを抜けなかったのは非殺傷弾しか持ってなかったせいで、それを反省したためかも。
鍵がかかったドアを突破するためドアの鍵や蝶番を撃つ、などの状況も考えるなら、もとから実弾を持ってても何の不思議もありませんが。
あれこれ言いだすと、メイン銃器がジャムった時に備えるサブ銃器を持ってないとか、そもそも喫茶リコリコだけでは作戦を遂行するための人員が不足している……なんて話になってくのでリアル辻褄合わせを追求するとキリがないですね。適当なとこで切り上げた方が良さげ。
<吉松シンジの意図>
目的
「松下」さんの東京観光案内も、殺し屋サイレント・ジン兄貴が襲ってきたのもすべて、アラン機関員・吉松シンジの仕込みでした。
彼の目的はただ一つ、千束(ちさと)に殺しをさせること。
なぜなら、幼い千束に人工心臓を与えて命を助けたのは〈殺しの天才〉だったから。アラン機関は、反社会的な天才だろうと構わず世に出そうとする、倫理をかなぐり捨てた狂信集団に思えます。
動揺
だから、現在の千束の〈不殺〉、人を助けるという信念を目の当たりにしてシンジは動揺してしまった。
想像するなら……
と、こんな辺りではないでしょうか。
推測
10年前、旧電波塔の事件を経て、千束の〈殺しの天才〉がDAで発揮されるのは揺るぎないと考え、シンジは姿を消した……のだと憶測してみます。
1話、ウォールナットのドローンが空撮した映像から、千束がリコリスとして活動しているのをシンジが知るシーンがありました。取り立てて驚く様子がなかったのは、千束がリコリスなのをシンジはすでに知っていたから。ウォールナットを爆破して始末した(と思った)シンジは、ロボ太に調べさせて喫茶リコリコを見つけたのでしょう。リコリコの看板娘・千束の画像はSNS上にあるので割と簡単そう。朝になってリコリコにシンジが現れてミカが驚いていたのは、10年越しの再会だったから、と想像がつきます。この時点で、喫茶リコリコはDA支部の単なるカバーだとシンジは思っています。
ところが、2話で喫茶リコリコはウォールナットの護衛を請け負います。DAにとってラジアータをクラッキングしたウォールナットは敵のはず。しかしロボ太によると、千束・たきなはDAの敵を守っている。ここから、千束はDAと反目しているか、少なくともDA主流にはいない、と推測できます。千束はDAのリコリスの中でも輝く”殺しの星”になっている、と思っていたシンジ。ミカに対して疑念を抱くきっかけになったのでは。喫茶リコリコはDAの単なる一支部ではなかったのか。互いの関係はどうなっているのか。
だから、こんなセリフで探りを入れた。
「千束とここで、いったいどんな仕事をしているんだい?」
1話でも2話でも、千束の超反射神経によるスタイリッシュ不殺戦闘が視聴者の耳目をかっさらいましたが、シンジはそのシーンを見ていないのです。1話ではウォールナットのドローンは交戦前にたきなに墜とされたし、2話でロボ太が雇った傭兵たちが役に立つ報告をしたとは思えません。
4話で接触したミカは、10年前の「約束」を明確に違えるようなそぶりは見せなかったが……千束の〈殺し〉の仕事ぶりを見なくては。そうシンジが考えて動いた結果、5話の顛末となった...…個人的には、そう考えてます。
確定事項
今後、千束の人工心臓を巡って、波乱が訪れるでしょうね。
千束を〈殺しの天才〉ゆえに支援したアラン機関は、千束が〈殺し〉を拒否したとき、彼女の人工心臓を止めようとするのでしょうか?
どういう話になるのか想像できませんが、喫茶リコリコのメンバーには欠けてほしくないなあ……
6話以降も、とても楽しみに待ってます。