私はヒール靴は履かない、ヒール靴はやはり健康に悪い
私服の中高に通っていたけれど、ヒール靴は校則で禁止されていたのでヒール靴への憧れは強く、高校生だった私は大学生になったらヒール靴、特にパンプスをはくのが夢だった。
なので、大学に入った瞬間からヒール靴をはきはじめ、大学時代は週5日くらいヒールをはいていた。
パンプス系統も買っていたし、サンダルはヒールのあるものしか買わなかった。なぜなら、当時は、ヒールのないサンダルは便所サンダルみたいだと思っていたから。
そうやって5年ほどヒール靴を楽しんだ後、20代半ばからは全くヒールを履かなくなった。
理由は、ヒールのある靴の歩きにくさ、疲れやすさが全身に悪影響を及ぼすようになってきたから。
実際22、3歳ごろに足の爪が二重爪になった。医者からはヒール靴を履くのは控えた方がいいと言われ、それを守っていてもいまだなお完治していない。
同時期、ヒール靴の履き心地の悪さにも嫌気が差してきた。
ヒール靴というものはどれも履き心地が悪いものなのだが、ヒール靴が履きたかった時期はそれが苦にならないほどヒール靴が履きたい気持ちが強かった。
学生時代は遠出をして歩き回る時もヒールを履いたりしていた。今考えればヒール靴を履くことになみなみならぬ気合いが入っていた。今はもうヒール靴は全く履けない。数時間しか耐えられないと思う。オケージョン時にしか履けない。ヒール靴を履くだけで脚のみならず全身が疲れ、その疲れが数日間長引くから。
・履き口の浅いヒール靴は最悪
ヒール靴の中でも特に履き心地が悪いのは履き口が浅いものである。
例えば、ヒール靴の中でもパンプスは特に履き口が浅いが、あれはスリッパよりもよほど履き心地が悪い。カパカパして脱げそう。
大学の入学式用に買った黒のエナメルの型押しパンプスをその後も何年もはいていたのだけど、それは親指の付け根が見えるほど甲浅で、ほんとに歩きにくかった。歩きにくいのにいい値段するのである、おしゃれ靴というものは。
その時に甲浅のヒール靴は歩きにくい、というよりも歩けない、ということを学習したため、私が今まで買って着たヒール靴は足首にストラップがあるものか、足の甲部分を覆う、履き口が深いものが大半。
「#KuuToo」が社会的ムーブメントになったが、私も賛同する。
そもそもパンプスというものは足をホールドしてくれず、足を外界から守るどころか逆に危険に晒している代物だと思う。
就職活動で企業側がパンプスを半ば強制しているのは選考対象者が自らを社会という危険な外界に晒すことを躊躇しないか、またはそのことに無頓着な人物かどうかを見定めるためなのだと私は考えている。
ヒール靴に話を戻すと、パンプスの中でも就活に使えないような足首にストラップがあるもの、メリージェーン風に足の甲にストラップがあるものも、ストラップがあるぶんパンプスより少しマシになる程度で履きにくさはあまり変わらない。
ヒール靴は当然のことながら、足を固定する範囲が狭ければ狭いほど歩きにくい。だから、ヒール靴の中でもサンダルはおしなべて歩きにくい。
その極めつけがミュール。
私は高校生の頃、ヒール靴に憧れながらも、ミュールを履いている同級生たちを見ていて、自分は絶対にミュールは履けないだろうなあ、と思い、後年ヒール靴を買うようになってもストラップが足首についているものを選んでいた。
なぜヒール靴は校則違反なのにミュールを履いてきている者がいるのかというと、校則違反でもよっぽどのことがない限り注意されない校風だからである。
その他、サンダルの危険性には、日焼けする、電車で踏まれたら危ない、足が汚れるからなどがある。
そも、サンダルをはくような暑い時期はサンダルだろうと革靴だろうと変わらず暑いものは暑い。
私の日常生活でサンダルが必要なのは玄関のつっかけだけである。それもヒールのないもの。もし海に行くとしても(滅多に海になど行かないが)玄関のつっかけを流用する。
このようなわけで、サンダルというものを、ヒール有る無しに関わらず、20代の初期から履かなくなった。
私は家でも常に靴下をはいているため、自分の足はもう10年以上直射日光を浴びていない。
履き口の浅い靴の危険性に関してはこんな体験もある。
20歳くらいのある時、プーマの、履き口が足の指の付け根が見えるくらい浅い、5cmくらいの厚底のスリッポンを買ってみた。
その時はまだ靴の経験値が浅くて甲浅でもスリッポンならいけるかと思ったのである。
レースの張られたデザインで、レースに惹かれて買ってしまったけど、この靴はこれまで履いた靴の中でいちばんといっていいほど履き心地が悪かった。
履き口が浅いことに加え、靴底が分厚いせいで重さがある。そのため、一歩あるくごとに靴が足から脱げるし、脱げないように気を付けながら足を前に踏み出そうとすると前につんのめりそうになる。
どこにも履いていけないため、家周り用のサンダルとして使おうとしても、ゴミ出しの時アパートの外階段から転げ落ちそうになったくらい危ない靴だった。
このように、ヒール靴でなくても、履き口の浅い靴は履きにくいを通り越して最早危険なものであることを実感した。怪我をしなくてよかったと心から思う。
パンプスでもスリッポンでも失敗して、もう、履き靴の浅い靴は、どんなものでも、絶対に一生履かないことにしている。
このようにヒール靴にどんどん嫌気が差してきて、20代の半ばからは、たまーに、気合を入れたいときにしかヒール靴を履かなくなったし、新しく買うことは一切なくなった。
この原稿を書いている時点での最近(2021年夏)、引っ越しを機に、2、3年履いていなかったヒール靴を買い取りに出して処分した。
処分したのはマーガレットハウエルイデアの黒のスエードの足首にストラップがついた5cmの太ヒールのものと、ツモリチサトのバイカラーの4cmヒールの二足。
マーガレットハウエルの方はヒール靴にしては履き心地が良くて冠婚葬祭用に残しておくという手もあったけれど、冠婚葬祭でもドレスシューズ履くからいいかな、と思って売ってしまった。普段の装いにはローヒールの靴しか履かないし。
もう一つのツモリチサトの方は何と、24.5cmだった。24.5cmでぴったりだったのだ。たぶんツモリって大きめの作りなんだと思う。
スニーカーは24.5~25の自分がヒール靴は25cmしか履けないからヒール靴というものはどこのメーカーも小さめの作りだと思う。
ヒール靴は素足かストッキングで履くことが多いため、(それよりも分厚い)靴下を履くスニーカー、ブーツよりも小さめに作られているんだろうな。
そんな中でツモリはヒールなしの靴と同じサイズ感でヒール靴を作っているのかもしれない。
この靴はつま先と靴紐周りとかかと部分が黒のエナメルで、その他の部分は肌色に近いベージュのツートンカラー、トゥキャップと履き口にメダリオン装飾がされた5cmの太ヒールの靴紐のあるデザインで、履き心地が良く(だから最後まで残っていた)、質のいい革ではないが(値段も高くなかったので相応)、悪くはなかったけど、こちらも当分ヒール靴を履くことはないと判断して、まだキレイだったので売った。
ハウエルもツモリもどちらも安い値段しかつかなかったけれど、まあしょうがない。
私は服はクリーニングに出せるから中古も買うけど、靴とか鞄は誰が使ったか分からないし洗濯できないから中古は買わないので、こうやって買い取ってもらるだけで良かった。
今は一足だけヒール靴を残している。
FRYEというブランドの、黒のレザーの、甲全体を覆うくらい甲深の、シューレースのついた5cmヒールのもの。
これはまだかろうじて履く機会がありそうなので残してる。
18歳から20代はじめにかけてヒール靴をたくさんはいて、ヒール靴を履きたい欲は完全に満たされた。
今は、全然、ヒール靴を履きたいとは思わない。