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人生は、いつか二度と会えなくなる人との、出会いと別れの繰り返し

懐かしい曲を耳にする。20年ぶりに。

海岸沿いの道が脳内に再生される。20年前に行ったとある島の風景だと気づく。その島の幹線道路につながる道で、信号のない塗装の剥がれつつある横断歩道を渡ると宿泊していた民宿があった。

ずっと、そんな道の存在は忘れていた。その旅行はもちろん覚えていたが、「楽しかった」の感想と一緒に保存されていたのは、きれいな海や街の飲食店で食べた料理の数々だったから。

つくづく、記憶というのは消えないのだと実感する。思い出せないだけで。

ひらひらひら

当時のメロディーが、するする記憶を呼び起こすのも、記憶が、思い出が、ただそこにあった証拠だ。

私がこの目で見たものや、この肌で感じた風は、消えていない。
思い出せないだけで、全部ここにあるのだ。

人生は、いつか二度と会えなくなる人との、出会いと別れの繰り返しだと思う。それは悲しいことだけれど、二度と会えないことで、思い出を瞬間冷凍できるような、そんな不思議な感覚もある。

たとえあの島のあの道が今はなくても、私の中にあるということは、それはとても大切なことである気がする。

あの曲が止まる。あえてリピートはしない。

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