あの日のリベンジをすこしだけした日
緊急遠征前日
3月 下宿している学生にとっては帰省をする時期。
私もその一人だ。
愛知の下宿先から地元岐阜に帰ってきた。
「昼ご飯はカップ麺でも食べて」 そんなことを言われた土曜日、明日は京都との試合を見に行く友人が「名古屋飯を食べたいから途中下車する!」というのでとりあえず祖母に許可を取り列車に揺られて名古屋に向かう。
矢場とん、スガキヤを訪れ満足した友人。食事を楽しみながら、サッカーの話に花を咲かせていると、なんということでしょう。試合に行きたいではありませんか。とりあえず帰宅し、母に許可を取り、京都に向かうことが確定した。
学生の味方を裏切った瞬間
岐阜~京都
私が中学生の頃に在来線のみで向かったことがある。ほかにもUSJにも在来線で向かった。岐阜近辺の学生なら一度は経験しているのではないだろうか。私は何回目かは分からないがもう慣れたルートである。
試合は3月の春休み。これで察することができた人仲良くしていただきたい。
青春18きっぷが使えるということだ。
岐阜から出発し東海道線で大垣、米原で乗り換えて京都に到着した。
ここで昨日名古屋でご飯を食べた友人と合流である。
京都からサンガスタジアムby京セラの最寄り駅亀岡までは嵯峨野線で普通で約30分。昨年訪れた時にはかなりの混雑だったことで友人はこんな提案をしてきた。「特急乗ろう!」
マジすか?!
びっくりした。しかし青春18きっぷではご存じの通り乗れない列車である。
友人にはこの切符では乗れないこと、車掌さんに話しかけて特急券の購入をするように伝え、京都駅の改札に向かう。切符を見せ改札を出ると用意していたICカードで改札に入り、車掌さんに特急券を発行してもらう。発車まで7分という時間で終わらせた。ひやひやしながら乗り込んだのは、はしだて・まいづる。快適であった。私は一人で在来線特急に乗ったのは初めてだった。
あっという間に亀岡に到着した。
私が緊急遠征をしたわけ
私は京都だからこそ緊急遠征に踏み切った。
家から近いというのも確かに理由である。しかし、それだけではない。
私の母は何度も何度も京都を一人旅しているくらい京都の町が好きなのである。昨年のGWには一緒に京都の穴場から有名観光地まで一緒に旅をした。
(そういえば南禅寺で川崎のユニで観光をしている人を見た)
確かに私も京都には魅力的なスポットが多いため、一日では当然回り切れず、何度も行きたくなるからくりなのだろう。そんなこんなで母は京都でいい思い出を作っているのだ。
父は京都の大学を卒業している。父から様々な話を聞くことがあるが、一番印象的なのは朝京都から福井に友人たちと向かい、越前ガニを購入して夜にカニ鍋をしたという話。
他にも大学に出す推薦の書類を担任にもらいに行ったのに書けていないと何度も言われ、テスト週の月曜にもらいに行ったら午後にはできるといわれ、父に連絡したところ偶然車で京都に向かおうとしていたため、一緒に京都の北野天満宮に合格祈願に連れて行ってもらったこともある。(数週間後に学校の遠足で京都を訪れたのだが…)今書いているだけであまりにもぶっ飛んでいるし楽しかった。 父にとっては最後の学生時代を過ごした大切な街なのだろう。
そして私の尊敬している方で、世間的に言う推し。
ウェザーニュースキャスターの戸北美月さん(愛称みーちゃん)の影響も大きい。(戸北さんと書くのが一般的だが、慣れないため以降愛称で書く)
私はどんなことでも一生懸命取り組む姿に日々影響をされている。また、一緒に企画でゲームをさせて頂いたご縁もある。
みーちゃんは京都の立命館大学出身で、在学中のデビューだったため、大学時代の楽しそうな様子もインスタグラムに掲載されている。
きっとインスタグラムなどに公開していないだけできっと素敵な思い出があるのだろう。
では、私はどうだろうか。正直言うと一人で何か良い思い出を京都で作れたかといわれると、ぱっと思い出せない。
両親、推しが良い思い出を作っている街京都で、昨年マリノスは負けた。
アンデルソン・ロペスが先制点を決めるも3失点で試合を落とした。最終節マリノスは優勝の可能性が消滅していたが、もし、優勝の可能性があった世界では優勝が京都の地で決まっていたのかもしれない。
私にとって大切な人が様々な思い出を作った京都。このままでは終われなかった。
試合前
腹は減っては戦はできぬ
そんな感じで焼鯖寿しを購入。
昨年来た時には亀岡牛を使ったコロッケや、亀岡名物のホルモンうどんを食べた。京都のスタグルはおいしいのはもちろん、環境問題も意識しているところが素晴らしいと思う。
さて雨が降る中でゴール裏に到着。
今回の席はゴール裏のかなりメイン寄りの席で、目の前にはコーナーフラッグが見える。
さあ選手たちがピッチに登場してきた。
みんな気合が入っている中今日もゴール裏にチャントが鳴り響く。
とあるチャントが来た「横浜に!シャーレを!横浜に!頂点を!」
私が初めてマリノスを見た日にゴール裏のサポーターが声を高らかに歌っていた光景を見て「私も行きたい!あの場所で歌ってみたい!応援したい!」
そんな思いにさせてくれたチャントである。昨年この場所で歌えなかったチャントを4か月の空白を作りながらも歌った。とても心にぐっときた。
「やるぞ!」そんな思いになり、アップは終了。
試合の簡単な流れ
小雨が降る中試合はスタートする。マリノスは永戸が初先発、渡辺皓、水沼、植中が復帰。
試合はいきなり先発復帰の水沼が動かす。
前半5分CBエドゥアルドのフィードを京都のCBアピアタウィア久がはじき返し、インサイドハーフの川崎へ送る。川崎に猛烈にプレスをかけたCFアンデルソン・ロペスが再びアピアタウィアに川崎が戻したボールにもプレスをかけ、ボールを奪い、グラウンダーのクロスを送るとフリーのRWG水沼がダイレクトで合わせ、マリノスが先制する。3分後には飛び出したインサイドハーフの植中がアピアタウィアに倒されFKを獲得。アピアタウィアは退場する。その後もマリノスはゴールに襲い掛かる。
前半33分には切り込んだLWGエウベルがクロスを上げるが逆サイドの水沼に流れ折り返したところをアンデルソン・ロペスが決める。
相手は10人で2点のリードだったが、まさかの展開になる。
前半45分CFの原が中に蹴り込む。「ヘディングではじき返すだろう。」と持った瞬間エドゥアルドはまさかの胸トラップ。上がっていたLSB佐藤にボールを奪われゴールを許す。
前半48分(アディショナルタイム3分)にはコーナーキックをCBの麻田がすらし、原が合わせる。GKポープがはじくも川崎に押し込まれまさかの同点に。
大丈夫かよ…
そんな思いで、前半は終わった。
後半が始まった。早く勝ち越したい。そんな思いで応援した。
後半7分やはりトリコロールのエースは偉大だった。RSBの松原のスローインからアンカー喜田がワンタッチで植中へ。植中はシュートを選択するもそのシュートに反応したアンデルソン・ロペスがヘディングでコースを変え勝ち越しに成功する。
しかし、試練は終わらない。後半19分には飛び出したポープが決定的な得点機会の阻止(以降DOGSO)で退場。
この日ベンチに入っていたGKはJ2鹿児島、JFLの強豪HondaFCで武者修行をしていた白坂だった。まさかの形でのデビューだったが、私は、大丈夫!と確信していた。
試合前練習ではかなりのシュートをセーブしていたからである。
失点はしなかったものの、長い時間攻め込まれ、remenberの発動もあり、最後まで気の抜けない試合だったが、何とか勝利をつかんだ。
試合後
勝利はした。でも、どこかすっきりしない。
お互いに退場者を出し合う試合だったからだろうか。
1点差ゲームだったからだろうか。
それとも白坂のデビュー戦で不安だったのか。
それっぽい理由を羅列したがどれも当てはまらない。
きっと昨年京都で優勝できなかったことが理由なのだろう。
チャンスがありながらも様々なことが重なり優勝できなかった。
京都で史上最高の思い出を作ることができなかった。
その悔しさなのだろう。
きっと京都で優勝を決めるまではこの悔しさは消えないのだろう。
しかし、少しだけこの日は悔しさを果たせたのではないかと思うし、きっとシーズン終わりには「こんなこともあったねー」なんて言えるのかもしれない。「今年こそは最後に笑いたい。うれし涙を流したい」そんな思いで大切な人たちの思い出の街京都を去った。
今回も読んでいただきありがとうございました。
現地観戦の勝ち試合はこのような形で遠征記を出していきます。
また読んでいただけると嬉しいです!
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