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【絵本動画】アオイネコ
やっと、書けたお話を動画にできました。 もうお話は書けないとおもっていたのですが、 前回ココナラで色々な方に協力いただき、どこか刺激をもらって少し糸口が見えてできるかもと思い、何とか出来上がりました。 今回はいろいろな過程が上手くいって物作りって楽しいと思える作品になりました。 自分の書いた話を朗読してもらって、より立体的に感じて、刺激をもらい修正し、イラストをもらい、更にお話としての形ができてきてくる。いろいろなパーツがうまく繋がってできた、とても貴重で嬉しい体験でした。 協力いただいたクリエーターの方に感謝したいです。 今までは過去に書いた話を動画にしてきたのですが、 この話は最近かきました。日々の思う中で感じたことを素直にかけたと思います。 沢山の人にみていただけると嬉しいです ーーーーー story write:星野未来 Instagram @mirai_hoshino25 VOICE:日和みか子 Twitter @hiyorimikako Illustrator:87 Twitter @rakuenja71 Instagram @87zombies -------- https://coconala.com/ アオイネコ 僕らは、運命の出会いではなかったけど、 二人で、歩幅を合わせて、不器用に歩いてきた。 夢か現実か分からないようなある日 アオイネコが現れて もう少しで寿命が終わると言った。 不思議とそれは僕の心に大きく染み付いた。 その日から手をつないで歩くことにした。 家族は増えなかったけど、二人の生活は僕には心地よかった。 子供が好きだった妻には、お母さんをさせてあげたかったが、 神様は子供が苦手な僕には親にはなれないと思ったのだろう。 その分二人の日常はゆっくり穏やかに時間が過ぎた。 ある日思いつきで、猫でも飼おうと言った。 妻が連れてきたのはあおいろの猫だった。 これで一人になっても少しは寂しくないだろう。 よろしく頼むよと頭を撫ぜて挨拶をした。 少し楽しそうな妻と、一匹。 毎日平凡に暮らした。 この先もこのままでいてくれればいい 歳を重ねると老いを意識する日がやってくる。 消えることがちょっとづつ、分かってくる。 いつのまにか眠って、気がつくと妻と一匹は近くで座っている。 日々はゆっくりと、あっという間に流れていく。 夢と現実の境が曖昧になったある日 アオイネコが言った。 そろそろいいかい? そうだね。 今日はずいぶん空が近い気がする。 風が穏やかで暖かな日に手をつないでありがとうを言った。
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【絵本動画】アオイキセキ
昔書いた話を動画にしています。 この話も結構昔にかいて、少し直して動画にしました。 当時の抜け出せない日常の気持ちが詰まっています。 毎日の生活の閉塞感を感じている人の慰めになったら嬉しいです。 word アオイキセキ 星野未来 いい時代が終わってしまった、 真っ黒なこの街の行き止まりで、 彼はいつもここで絵を描いている。 ボロボロの汚れた洋服に年齢も分からない風貌。 彼が何者なのか誰も知らない。 ただ、その人の絵には、必ず美しい青い雪が降っている。 汗ばんだ夜でも。 遠い異国の絵を描いていても。 目の前の真っ黒なこの街を描いていても 。 彼の絵の中には美しい青い雪が降っている。 青い雪なんて降るわけないよ。 誰かが言った。 彼は手を止めずに言う。 降らないから奇跡なんだ。 おこってしまったら、 真っ黒なこの街のやつらがやってきて、 奇跡のままでいられない。 だから、おこらない奇跡を描いてるんだ。 それを聞いて、ひとり、またひとりとその場を去っていく。 彼はアオイキセキを描き続けてる。 奇跡とは程遠いこの街角で、 おこらない奇跡を描き続けている。 私は、目を閉じ想像の翼を広げて心を飛ばす。 突然、街中に青い雪が降り積もって。 アオイキセキが、何もかも埋め尽くしてくれればいいのに。 そうすれば、この絶望の世界も美しくなるのに。 この真っ黒な街も、物語のような終わりが迎えられるかもしれないのに。 私はゆっくりと目を開け、立ち上がり歩き出す。 奇跡なんておきない真っ黒な街に私も溶けていく。
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【絵本動画】アオイテンシ
この話はもう20年位前に書いた話です。当時苦しんでいたことや感じていたことを閉じ込めた作品になりました。 沢山の人にみてほしいです。気に入ってくれればうれしいです。 世の中の事なんて何もわからないまま、あがいていた頃の気持ちが詰まっています。 word 青い空をみるとかなしい気持ちになる。 雲一つない青い空をみると悲しくないのに涙がこぼれる。 ずっと、そう思っていた。 ある日、アオイテンシとすれ違った。 振り返ったらあいつもこっちを見ていた。 その日から僕の少し離れた場所に必ずあいつがいた。 街を歩くと通りの向こうに。 洗濯をすると向かいの屋根の上に。 コンビニに入ると立ち読みしてた。 ある嵐の翌朝、おきると古いイスの上であいつが眠っていた。 アオイテンシとの暮らしが始まった。 テンシは誰かと一緒に生まれてくる。 そう言って黙り込む。 昔のアルバムを開いたらあいつがいた。 写真の隅っこに楽しそうに写っていた。 どの写真も僕は笑っていない。 その分あいつが笑ってた。 そういえば最後にいつ笑ったっけ。 笑うってどうするんだっけ。 そういえば鏡も見てない。 俺ってどんな顔してたっ け。 昔は僕だって白かったよ。 そう言ってまた黙り込む。 確かに写真のあいつは今より白かった。 どんな生活にも必ず変化は訪れる。 ある日、あの娘とすれ違った。 振りかえったらあの娘もこっちを見ていた。 あの娘は少しあいつに似てた。 最近さ、わたしがんばってるし、誕生日近いし、それにさ・・・ イヤリングのおねだりのいいわけ。 いつまでも続くそのいいわけが、僕の何かに触れた。 その日から、あの娘は僕のお手本になった。 嬉しいとき、悲しいとき、おこったとき。 素直な表情が毎日新鮮で・・・ あ、笑うってこうするんだ。 雨の夜、ずぶ濡れのあの娘を抱きしめた。 抱きしめた肩越しにあいつが見えた。 あいつはただじっとこっちを見ていた。 その日から古いイスの上にあいつはいなくなった・・・ 夢を見た。あいつが言った。 そろそろ空に帰るよ。 テンシは誰かの笑顔で白くなる。 アオイテンシが空に帰ると飲み込まれて空の青になる。 空の青さは笑顔をなくした大人のテンシの色。 待てよ。まだ・・・ 言葉がでてこない。 どうして・・・何か伝えたいのに・・・ 起きたらあの子が古いイスの上で眠っていた。 あの子に気づかれないように、そっと泣いた。 自分の言葉で話せない僕は誰なんだろう。 僕は僕と何処ではぐれたんだろう。 晴れた日、屋根に白いあいつを見つけた。 あいつは立ち上がり大きな羽を広げた。 青い空に白くなったあいつが吸い込まれてく。 青い空に白い羽がいつまでもいつまでも残っていた。