【第11回】喫茶店に、雨。

2019.5.22
梅に雨と書いて、
ご存知、梅雨ですが、
この時期は、少し酸味があって、
さっぱりしたものが食べたくなるのは、
私だけでしょうか?

分館、フルーツサンド、
少し前から切り替わっています。
キウイとオレンジ、初夏仕様です。
梅は入っていませんが、
酸味と甘さが心地よくて、
苺とはまた全然違う美味しさです。
よかったら、お試しをば。

さて…例えばの話。

起き抜けに、ひどく雨が降っていたとして、
それはそれは心が踊るような、
素敵な傘を持っていたとしたら、
雨の日が愛しいような
待ち遠しいような
気持ちになったりするのかなと思うのですが、
残念ながら私の手元にそんな傘はなく、
かわりにあったのは、
素敵な喫茶店だったのもしれません。

今のように、喫茶店を生業にする遥か前から、
雨が降れば、
喫茶店に引き籠る理由ができたような、
そんな気持ちになって、
口元の笑みを抑え隠しつつ、
いそいそとお気に入りの喫茶店へと、
よく向かっておりました。

雨だからといっても、
過ごし方が
いつもと違ってくる訳ではありません。
ただ喫茶店に揺蕩う、
普段とは違う、景色だったり、
匂いのやうなものであったり、
それらを感じ取れる雨の日の時間が、
日常に時折訪れるご褒美のように
感じていた節が私にはありました。

珈琲をネルドリップで抽出する様と、
刻々と表情をかえていく、
窓越しの雨の借景を重ねて、
雨の雫で珈琲を淹れてもらっているような
不思議な錯覚に陥ったり、
喫茶店の窓を打つ、
雨粒のリズムに、
スピーカーから流れるいつもの曲が、
まるでライブのように感じられたり…

喫茶店に、雨の掛け算は、
どこか魔法がかかったようで、
いつも以上に、感覚が開き、
珈琲も殊更美味しく、
ひとり作業がとても捗るのでした。

偶然を楽しむこと。
その佇まいや方法を、
私は喫茶店と旅から学びました。
失敗を数え思い返せば、
もう静かに消え入りたいほどですが、
結果、日常を楽しむヒントも、
そこにたくさんあるのかもしれませんね。

ではでは、今日はこの辺で。。
運が良ければ、
雨の先には、虹もありますので、
引き続き、喫茶店をお楽しみください。

次は、
焼けるような陽射しの頃かもしれませんが…
『あの花の背中は。』、
『誰がために鐘は鳴る。』、
『深呼吸と、嘆息。』
…ちょっと迷っております故、
決まり次第お知らせします。

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