制約をチャンスに変える アイデアの紡ぎかた
【書籍情報】
タイトル:制約をチャンスに変える アイデアの紡ぎかた
著者:堤藤成
出版社:ぱる出版
定価:1,540円(税込)
出版日:2023年11月22日
【なぜこの本を読むべきか】
確率論に頼り、闇雲にアイデアを出し続けても、カタチになることはない。
まずは、正しい「アイデア観」を身につける必要がある。
本書は、制約の多い仕事や人生を紡いできた著者が、アイデアをカタチにする方法を紹介した一冊だ。
本書は以下のような方にオススメしたい。
「ない」もの尽くしの人は、「ある」人に嫉妬し、自分の人生に嘆く。
しかし、「ない」ものと向き合ったとき、周りに存在する「ある」ものへの感謝が生まれる。
すると、逆境や制約が味方になり、あなたらしいアイデアに辿り着く方向へと導いてくれるのだ。
【著者紹介】
堤藤成
『つむぐ塾』塾長、コピーライター。生まれつき右耳が聞こえず、言葉で魅了するコピーライターに憧れる。新卒で電通に入社し、後に国語の教科書に掲載される広告をつくるなど結果を出す。カンヌゴールドをはじめ、国内外の受賞多数。著書に『ほしいを引き出す 言葉の信号機の法則』がある。
【本書のキーポイント】
📖ポイント1
ただ闇雲にアイデアを出し続けるだけでは、あなたのアイデアは採用されない。肝となるのは、制約を制することだ。
📖ポイント2
四角い案内標識に学ぶ『目的のサイン』で、アイデアの目的地までの解像度を上げよう。
📖ポイント3
丸い規制標識に学ぶ『制約のサイン』で、現実的なアイデアをつくりあげよう。
【1】アイデアの教習所へ、ようこそ
ゴーカート、F1カー、そして自動車
まずは、質問から始めよう。
あなたが車の運転を教わりたいとき、以下の3つのどこへ行くだろうか。
おそらくほとんどの人が、Cの自動車の教習所を選んだと思う。
子ども用のゴーカート乗り場で学んだ人が、実際の車で路上に出れば、何度もアクセルを踏んで壁にぶつかったりと、大事故になりかねない。
F1カーの教習所であれば、「何百キロも出してアクセルを踏むなんて自分には無理」というように、運転すること自体を諦めてしまうかもしれない。
道路で車の運転をしたいとき、自動車の教習所に行き、交通標識を覚えて安全にドライブする方法が最適であることを、私たちは知っている。
では、アイデアをカタチにしたい場合はどうだろうか。
子ども用のゴーカートのように、アイデアの数だけを増やす発想法を教わってきていないだろうか。
もしくはF1カーのレース場のように、プロ向けのアドバイスを聞いて、「こんなに天才的なスキルは自分にはない」と思い込んでいる可能性もあり得る。
本書では「自動車の教習所」のように、アイデアをカタチにするうえでの注意点や心構えを、交通標識に例えて伝えている。
正しい方法を知りたいのならば、正しい教わり先を選んだほうがいいのだ。
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アイデアの基本と、カタチにならなかった理由
アイデアの基本原理について最も有名なのは、ジェームス・W・ヤングの著書『アイデアのつくり方』で紹介されている、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである」という思考法だ。
たとえば、リンゴを組み合わせて考えてみよう。
さらに、ここから派生した代表的な思考法「SCAMPER(スキャンパー)法」の7つの質問を使い、お題をリンゴジュースにした場合も見ていこう。
先に紹介した「組み合わせ法」と、今紹介した「SCAMPER法」を使えば、アイデアをたくさん出すことはできるだろう。
しかし、「たくさんアイデアを考えること」と「カタチになるアイデアを考えること」は別ものだ。
もし、あなたのアイデアがなかなか採用されないのであれば、ただ闇雲にアイデアを出し続けているだけかもしれない。
置かれた状況によって、取るべき方法は違う。
会社の業績や業態によっても、アイデアの方向性や目的は異なるのだ。
必要なのは、理想とする目的地に向け、安全に気を配りつつアイデアの最適なルートを導くことである。
「カタチにならないアイデア」の量産よりも、数は少なくとも「カタチになるアイデア」を探求したほうがいい。
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