今日覚えたい文法
否定語 pas の位置
さて、問題です。否定語 pas の位置はどこでしょうか。
最も数多くの時制に対応できる漏れがないルールを書いてみてください。
もう一度言います、書いてみてください。
人間は自分の記憶にウソをつくことが多いので、書いて証拠を残してください。
「そういうつもりだった」「今言おうと思ったのに」がないように、です。
2分待ちますよ。
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では確認をしましょう。
ぼくの頭の中はこうなっています。
「 ne は主語の直後、pas は1つ目の活用している(助)動詞の直後」です。
正しく使えればいいので自分の説明をゴリ押しをするつもりはありません。
では、本当にいかなる場合でも pas は上の説明の位置なのでしょうか?
自分で書いておいたのに、舌の根も乾かぬうちに違うことを言います。
話し言葉ではこのルールが崩れることがあります。
代表的なものは、目的を表す "pour + 動詞の原形" の構造を否定するときでしょうか。
友人の結婚式に参列をするためにフランスに行く。
Je vais en France pour assister au mariage d'un ami.
否定文にしてみましょう。
Je ne vais pas en France pour assister au mariage d'un ami.
このフランス語は何を伝えたいのか、焦点が少しボケていますね。
フランスに行くのは結婚式のためではない。
結婚式に参列をするために、フランスには行かない。
どっち?
「友人の結婚式に参列をするためにフランスに行く。」
この日本語を否定文にしてみましょう。
「友人の結婚式に参列をするためにフランスに行くのではない。」
この日本語をどんなふうに解釈をしますか。ぼくにはこう読めます。
「友人の結婚式に参列をするためにフランスに行くのではない。」
=別の目的がある。
積極的に否定したいのは「フランスに行くこと」ではなく「友人の結婚式に参列をすること」と伝えたい日本語と読み解くことができます。
話し言葉においては、
否定したい表現や意味まとまりの前に pas を置いて強く高く読むことで、その箇所の否定を伝えることができる。
しかも話し言葉なので、否定語の ne なんて気にする必要はありません。
Je vais en France pas pour assister au mariage d'un ami.
こうすると真の目的を伝えやすくなります。
Je vais en France pas pour assister au mariage d'un ami mais pour suivre un stage linguistique à Paris.
結婚式に参列するんじゃなくて、フランス語の勉強をしにフランスに行くんだ!
主語の位置に pas が来ることもあり得るのです。
Pas un élève m'a écrit de carte de vœux.
生徒からは誰からもグリーティングカードが来なかった。
ルールを正しく覚えることは大切ですが、自然言語においては、そのルールには必ず漏れがあることは分かっておいてくださいね。
ご参考まで
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