
今日覚えたい語彙
大聖堂って何?
フランス第2または第3の都市 "Lyon" の丘の上にある目立っている大きな教会は、フランス語では "Basilique Notre-Dame de Fourvière"、日本語では「フルヴィエール大聖堂」と呼ばれています。
辞書で「大聖堂」を調べてみましょう。
ローマ−カトリック教会で、司教区の中心になる教会堂。教区司教の正規の座席(カテドラ)をもつもの。英国聖公会・ギリシア聖公会では司教座聖堂をいう。カテドラル。
大聖堂→カテドラル
キリスト教で、司教座(主教座)のある聖堂。教区全体の母教会の意味をもつ。司教座聖堂。主教座聖堂。大聖堂。カセドラル。イタリア語ではカテドラーレ、ドゥオモ。
西方教会→カトリック教会
カトリック教会においては、司教座聖堂(カテドラル)のことを指す。祭壇の内陣中央に設けられる司教が座るための椅子すなわち司教座(ラテン語で cathedra)を持つ聖堂(教会堂)のことであり、司教が長を務める聖堂である。ヨーロッパなどでは古来、市役所などと共に都市の中心にある広場に面して建てられるのが慣例であった。
フランス語の cathédrale は一般的に「大聖堂」と訳されます。それは cathédrale には司教座(主教座)があるからなのです。
cathédrale には司教座(主教座)があり、その訳語である大聖堂にも司教座(主教座)があるのです。
決して、大きい聖堂だから「大聖堂」ではないということです。
では、フランスの都市 Lyon のどこに司教座(主教座)があるのでしょうか。
それは、丘の上にある「フルヴィエール大聖堂」ではなく、丘の下にある "Cathédrale Saint-Jean (Baptiste)" なのです。(それはそうです、cathédrale という名前がついているのですから)
では "Basilique Notre-Dame de Fourvière" は cathédrale ではない(すなわち「大聖堂」ではないということですね。
でも、そこにもあそこにも、至る所の情報に「フルヴィエール大聖堂」と書いてあります。なぜでしょう?
わからないですが、最初の誰かの「誤訳」が広まったと考えるのが自然でしょうね。
もしくは「大聖堂」の意味が、辞書では記述されていない別の解釈もあり得るのか、そのどちらかと考えられます。
では、basilique とは何でしょう。
1. バジリカとは古代ローマ帝国の大長方形の公共建築様式を指し、その同じ様式で建てられた聖堂をバジリカ式という。(…)
2. カトリック教会に固有の意味では、教皇により免償その他の特権を与えられた由緒ある聖堂を指す。
バジリカ 〖basilica〗〔バシリカとも〕
①古代ローマ時代,裁判・商取引などのために建てられた長方形の集会所。
②初期キリスト教会堂の形式。の前面に玄関室と前庭を付し,内部は列柱で身廊と側廊に分けられる。
建築様式の話なのですね。
ということは、cathédrale にして basilique ということがありえるのでしょうか。
とにかく!
Lyon の丘の上にあるのは Basilique Notre-Dame de Fourvière であって、「大聖堂」ではありません。少なくとも cathédrale ではないということです。
ちなみに、パリの「サクレクール寺院」の正式名称は
la Basilique du Sacré-Cœur de Montmartre
です。
今日はフランス語の話ではなく、テレビ番組のちょっとしたミスが気になり、時間を掛けて調べてみたうんちく話でした。
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