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#02 人生の経営戦略/山口周【100冊リレー】
100冊リレー2冊目の紹介は、山口周さんの
「人生の経営戦略 自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト」。
これは100冊リレーを始めて早々、「お、これは出会えたんじゃないか?」と思える本で、2日間の休みで一気読みした本。
実は山口周さんの本はいくつか読んだことがあって、その中でも「仕事選びのアートとサイエンス」は5年前にキャリアに迷って転職を考えていた時に出会い、その当時のキャリア形成に対するモチベーションを助けてもらったのでした(この本を読んで結局転職はしなかったのですが、この話はまた別の機会にでも)。
あれから5年が経ち、この数年での仕事が一周したところで、はたまたキャリア迷子に入り始めた自分にとっても響く本だった。
内容としては、経営戦略や経営学の専門用語を元に、その仕組みや概念を人生を生きる戦略にどのように活用できるかということが20個のチャプターに分けて紹介されている。
ざっくり言うと、人生のいろんな悩みは経営戦略で解決できる!自分の人生、もっと戦略的に生きていこうぜ!という話である(いくらなんでもざっくりすぎる)。
経営の専門用語や、少し小難しい言い回しが出てくるので、頭が元気な時にしか読めない気もするが、キャリアに対する考えをブラッシュアップさせたい!と渇望していたその時のわたしにとっては脳みそがガシガシ刺激されてかなり満足感のある読み応えだった。
以下、特に今の自分の心に残った部分を、メモ程度に。
・絶対優位の戦略
相手がどう出てこようと、周辺環境がどう変わろうと、自分の持っている選択肢の中で1番リターンが大きくなる選択肢のこと
→1983年のアメリカズチャップチャンピオン艇の話。大差をつけられていた挑戦艇が、風向きの予報を無視して進路変更し、結果逆転勝利。
→みんなと同じ戦い方でパフォーマンスを上げる努力をしても、ゲームに勝つことはできない。自分の人生というゲームの勝ち方を、自分でちゃんと考えなきゃ!
・ベンチマーキング
ある組織や個人が他社の成功事例やパフォーマンスを基準に、自らのプロセスや成果を比較・評価し、改善策を導き出す経営手法
→1980年代のゼロックスの例。キャノンやリコー、ミノルタが複写機の市場に参入したことで、100%近くあったシェア率が13%まで落ち込んだ。そこでゼロックスは自分たちの劣位を謙虚に認め、日本企業をお手本に改革を進めた結果、それが米国の企業変革の核となっていった。
→当時、米国で起きた日本企業に対してのベンチマーキングとは「謙虚さ」の現れであり、深いレベルでの精神性の変容がなければできなかったこと。(アメリカでは模倣に対して厳しい目線がある上に、日本企業というのは戦争で打ち負かした国でもある)
→自分も30代に入って価値観が確立されてきたなと思う反面、凝り固まった部分も出てきている気がする。どんな時でもベンチマーキングという謙虚な姿勢を持って物事を吸収していきたい!
他にもおもしろい章がたくさんあったのですが、なんせ内容が少し専門的ゆえに噛み砕いて説明するのが難しい…!(現にここまで書くのに1時間半は費やしてしまった)
というわけで、興味が湧いた方はぜひ実際に読んでみてください。そして是非とも私にわかりやすい解釈の仕方を授けてください…(他力本願)。
ともあれ、この山口周さんの考え方で私が好きなのは、例えばキャリアだと転職とかわかりやすいキャリアアップ、昇進が1番の正義であるというような極端な上昇志向ではなく、あくまで今ある市場の中でいかに自分にとっての「ウェルビーイング」を実現できるキャリア形成や生き方を戦略的に設計していくかを説いている点。みんなと同じ土俵で競り合って勝っていけ!というのではなく、あくまで自分で自分の土俵をつくり、この世界で自らが描く幸せを戦略的に勝ち取っていけ、という考え方は、資本主義社会においてある種の閉塞感を感じている人にとっては少し生きることを楽に感じさせてくれる気がする。
そしてなによりこの本を読むと、私たちは、一人ひとりが自分の人生の経営者なのだと言うことに気づかされる。
ちょっとカッコよくないですか?自分が経営者と思って生きるの、なんだかおもしろそうじゃないですか?笑
そんな少しの希望とワクワクを胸に、明日からも頑張っていこうと思います。