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スペクトログラムを使ってオーディオの問題点を洗い出す

ノイズやオーディオの持つ問題点を視覚的に洗い出す方法を学ぶというのは、とても役に立ちます。つまり、スペクトログラムの技術を搭載したどんなソフトウェアも使いこなせるようになるということなのです。このポストでは、ハム、バズ、クリッピング、断続音といったオーディオの問題点を洗い出すためのスペクトログラムの使い方を考えていきたいと思います。スペクトログラムは、オーディオリペア用ソフトウェアで数々の賞を取ってきた、RXに含まれる機能です。

もっと詳しく知りたい方は、こちらも参照してください。

ハム
ハムの大半の原因は、録音の際に繋がれた信号ケーブルのどこかで起きた電気的なノイズによるものです。50Hzか60Hzを基本とした低周波数のトーンのノイズで、北アメリカでレコーディングされたのかヨーロッパでされたのかで変わってきます(訳注:日本ではざっくり東日本か西日本かによる)。低周波数の部分をズームして見てみると、横軸に連なったハムノイズがあり、50Hzか60Hzがだいたい濃くなっていて、その上にある倍音の部分は薄くなっています。下の画像はそのサンプルです。

Tips: RXのスペクトログラムをズームしたい場合は、マウスのホイールでスクロールするか、その他の拡大表示の機能を使ってください。

Tips: 消したくない音と被ってない場合に限り、ハムノイズの除去は行ったほうが望ましいです。

バズ
場合によっては、電気ノイズがより高い周波数にも乗り、バックグラウンドノイズとして明確になってくることがあります。下の画像を見てください。

Tips: ディハムは通常、低周波数のハムノイズに効果を発揮します。したがって、高周波数にも倍音が乗ってきてしまったバズノイズの場合は、ディノイザーの方が効果的です。

ヒスや広帯域ノイズ
ハムノイズやバズノイズと違って、広帯域ノイズは広い周波数に及んでノイズが乗り、特定の周波数にということがありません。テープによるヒスノイズや、換気扇やエアコンによるノイズは広帯域ノイズの最たる例です。スペクトログラムのディスプレイには通常、斑点が広がるような形で表示されます。下の画像はその例です。

Tips: ディノイザーがこの手の広帯域ノイズの除去に向いています。

クリック、ポップ、その他瞬間的なノイズ
クリックノイズとポップノイズはレコードから録られた音源に共通して現れるものですが、デジタルでもエラーが起きると発生します。適当でないバッファのセッティングがされたDAWでレコーディングされていたり、オーディオファイルがゼロクロッシングの位置で編集されていなかったりという場合も含みます。舌打ちや舌なめずりした時の音もクリックノイズのカテゴリーに含まれます。こういった短い衝撃のようなノイズは、スペクトログラムでは縦のラインで現れてきます。その音が大きければ大きいほど濃い色で表されます。下の画像では、レコードからサンプリングされた音源にクリックノイズやポップノイズが乗っている状態が表示されています。

Tips: ディクリッキングを使えば、こういったノイズを判別し分離し軽減もしくは除去することができます。

クリッピング
クリッピングはよくある問題です。サウンドカードやコンバーター、ミキサー卓、フィールドレコーダー、その他録音機器などのインプットに大きな音が入って歪んだ時に発生し得ます。スペクトログラムはクリップしたオーディオファイルに特別効果的ではないので、この場合はウェーブフォームのディスプレイを利用します。

Tips: スペクトログラムの下にあるスライダーを左に動かして、ウェーブフォームを表示させましょう。

下の画像を見てもらうとわかるように、ウェーブフォームの「四角く」なっている部分としてクリッピングが表示されます。

お使いのソフトの多くでも、ウェーブフォームをズームして先が切り取られたような部分の詳細を見ることができます。

Tips: ディクリッピングを使えば、もしクリッピングしていなかったら元々はこうだっただろうと、理にかなったウェーブフォームを描き直してくれます。時々、強いリミッターがかけられたオーディオもズームすると同様に「四角く」表示されますが、これは強く歪んだ音が鳴るというというのを必ずしも意味しているわけではありません。それぞれのウェーブフォームの先端がクリッピングしているか見るためにズームするほうが良いでしょう。

断続的なノイズ
断続的なノイズはヒスやハムとはまた違ったノイズです。常に発生しているわけでもないかもせれませんし、一定のピッチやデュレーションを保っているわけでもないかもしれません。よくある例としては、せき、くしゃみ、足音、車のクラクション、携帯の着信音などが挙げられます。こういったノイズの例を2つ、下の画像で見てみましょう。

途切れや破損
短く途切れてしまったり、壊れてしまったオーディオを録音していることがたまにあります。こういう時は目で見ても耳で聞いても明らかなケースが大半です。下の画像を見てください。

Tip: 上記の例のようなノイズや破損の大半は予測できるものではないですし、取り除くかビジュアルまたはスペクトラル編集ツールを使って手動で繕う必要があります。

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