読書記録『華氏451度』
華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫訳
ハヤカワ文庫SF
−−華氏451度で書物は燃える。
主人公モンターグは、書物を焼く昇火士だった。
炎に快感と誇りを覚える彼は、騒がしいメディアを好む妻と暮らしていた。
しかし感受性豊かな少女や書物と共に炎に巻かれることを選んだ老婆との出会いを通じて、彼の人生は劇的に変わってゆく。
簡便な娯楽や広告に満ちた現代を鋭く風刺するディストピアSFの傑作。
この小説が書かれたのは1954年。ブラッドベリの問題意識は今なお色褪せない。
50年以上も新しいメディアは思考停止だと批判され続けているのはなんだか滑稽だと思う。解説によると、ブラッドベリは早く書かないと未来が来てしまうと焦っていたというのに。
娯楽に溺れ、この世界の不思議さにも一人の老婆の死にも我が身に降りかかる戦争にも思考を巡らせる間もなく取り返しの付かないところに陥る。
ファストなコンテンツの是非は私には分からないけれど、快楽に満ちた商業主義がもたらした終焉は恐ろしかった。
しかし、街が爆撃に消えようとも、男たちが歩き、考え、記憶しつづける……
一人の読書家としては、それは希望に満ちた結末だと思いたい。
以下日記
SNSだと自意識が邪魔すると思って読書記録と日記は私的にノートに付けていた。ただ、近頃生活が変わってすっかり思考を文章として出力する機会が失われてしまったので外からの力が必要だと思った。誰かがこの文章を読んでいるのかは知らないけれど、とりあえず世界に開かれている。私の中の自意識おばけが飽きっぽくなければ続きます。
この文章を投稿したらさっさと風呂に入って寝ます。
桃が冷蔵庫で冷やしてあるので明日の朝食が楽しみ。
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