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障害児の母もしている社労士がちょっとお話しする障害年金について。申請依頼を社労士にした方がいいかどうか?

障害年金についてちょっとお話し、のつもりがまあまあなボリュームになってしまいました。
年金請求についてざっとした流れを書きました、たいていのことはちょっと調べたり勉強した人は知っていることかもです。流すように読んでください。
厳密にはちゃうやん、なところもありますが、わかりやすくなればいいなと考えて書いています。ご了承ください。



障害年金を受給できる要件

要件は3つ
①初診日要件
②保険料納付要件
③障害認定要件 です。

初診日要件


なぜ初診日を確認しないといけないのかというと
初診日にどの年金の加入者であったかによって受給できる年金が変わってくるからです。

初診日がいつなのか、知的障害など生まれつきのものは初診日が生年月日となり、発達障害で幼少期に児童精神科や療育にかかった場合、その日が初診日になることもあります。 
20歳以降に発症した病気は初めてその傷病に関して病院にかかった日
例えば脳の病気と思わず耳鳴りがするといって耳鼻科にかかったら耳鼻科を受診した日が初診となる、障害名は脳の病気で診断書を書いてもらうことになる、みたいなことです。
初診日を確定する必要があるのは、初診日にどこの年金に加入していたかを確認し、国民年金か厚生年金か公務員等である厚生年金(旧共済年金)か、どの制度の年金制度であったのかを確かめる必要があるからです。

20歳前が初診日の場合は障害基礎年金(1級又は2級)、
厚生年金制度に加入していた期間が初診日の場合は障害厚生年金(1~3級または障害手当金)が受給できます。
高卒で18歳から働いて厚生年金に加入していた間の初診日である場合は障害厚生年金が受給できます。ただ、障害認定日が20歳前であれば障害厚生年金は20歳から支給されます。


保険料納付要件

②保険料納付要件は初診日の前に(これもザクっとした言い方です、詳しくは初診日の前日が属する月の前の期間に保険料がうんぬん)保険料をきちんと納めているかを確認します。初診日がわからなかったり、ここが初診日だと思って確認すると納付要件を満たせてなかったと気づくこともあります。
だからと言って受診していた病院を端折って都合のいいところを初診日とする、とかのごり押しもしない方がいいです、マイナンバーもあるし、受診状況確認(初診日証明)や診断書作成依頼時に本来の日を違う日として書くことをいい顔をしない医師もいます。
いわば、不正受給につながることだから。私も医師に診療記録とは違う内容の診断書作成を依頼したり、納付要件に合わせるために受診状況をすっ飛ばすことはしません。


だけどあきらめずになんとか初診日、納付要件を満たせるよう調べるお手伝いをします。
会社勤めで厚生年金加入中の初診であったり、20歳前の発症や生まれつきの知的障害などがあると初診日が判断がしやすいです。

※社会的治癒って?

一度は傷病や障害の状態から寛解した状態で過ごしていても何かのきっかけでまた同じ病気の症状や障害の状態になってしまうこともあります。その場合、一番初めに発生した日を初診日とせず、「社会的治癒」としていったん病歴は終了したものとすることがあります。目安としては10年くらい病院にかからず社会生活を過ごせていたら、同じ傷病であっても社会的治癒とみなして、再発したときを初診日として障害認定を受けることとなります。

障害認定日要件

③初診日から1年6ヶ月後に障害の状態にあること。障害等級に該当するかどうかは病歴就労状況申立書より医師の診断書によって判断されています。これは社労士が立派な申立書を作成してもどうにもなりません。
またあまりにも診断書と申立書内容が違うと年金機構から返戻や問い合わせがあったりします。社労士としては、診断書ができたら、その内容に合わせて申立書も修正しています。
明らかに初診日から1年半を経過していない日を障害認定日にしているなど、年金機構から返戻あると予想される場合は診断書の修正をご本人様経由で依頼することがあります。
診断書を作成するのは医師です、診断書の内容の修正やこのように書いてくれなどを医師に依頼することはできません。社労士は診断書の内容に口出しできる立場ではないと考えます。

20歳前障害の場合、20歳から一年半後ではなく、20歳から年金を受給できます。このあたりが、20前障害(知的障害など)の場合20歳前に一度精神科にかかってみてね、とかいろんなところでアドバイスがあったりする理由です。
20歳時点の診断書を書いてもらい、20歳から受給することになります。

申請を出した後、、、

3ヶ月ほどで障害年金の可否決定が出るのが通例です。
申請した後、返戻とか年金機構からの直接の問い合わせがあったり、更新できなかった、とかいう経験を食らうと、かなりの人はショックを受けて訂正しても年金通らないんじゃないか、ブラックリスト的なものに載ってもう受給できないんじゃないかと感じる人がいるようです。そんなことないですよ。
無事年金受給が決定したら、何やら重々しい雰囲気の年金証書と1~2週間ずれて年金支払い通知書が郵便で届きます。
年金証書には更新年月が書かれていたりいなかったりします。

併合について

あと鬱などの精神疾患と身体障害を併合できる、と思っている人もいますが、精神疾患と併合できるのは視覚と聴覚の障害のみです。それぞれ別の科の先生に診断書を書いてもらい2枚(以上)提出することになります。
一例を挙げると腎臓を悪くし、透析治療が必要な障害状態になったことと、その治療や日々のしんどさで鬱状態になっても、その併合はなく、おそらく透析治療による2級の障害年金の受給のみというパターンになります。
糖尿病などにより腎臓を悪くし、透析が始まる、視力にも障害が出たという場合は併合認定されるかもです。


障害基礎年金で1、2級。障害厚生年金で1,2,3級もしくは障害手当金が支給されます。
65歳までは障害年金、65歳以降は老齢と障害のどちらかの年金を選択します。在職中に障害年金を受給しつつ働きながら厚生年金を納めると65歳以降は老齢年金の方が額が多くなると考えられます。そのときにどちらの年金を受給するか選択してください。

働いて給与を得ながら年金も併せて受給することができます。

障害がある場合フルタイムでバリバリと仕事をするというのは考えにくいです。ベーシックインカムである障害年金と、ご本人の状況に合わせて労働収入を得る、ダブルインカムを目指してもいいと思います。
20歳前障害の場合のみ、ある程度の所得があると障害年金が支給停止になります。

障害年金の申請についての相談先

障害年金については地域の年金事務所で無料相談できます。年金事務所は「国はアンタに障害年金なんて払いたくないからな!」というスタンスで話をしてくることはありません。淡々と対応してくれます。今受給中の障害年金についての相談、更新についての相談もできます。
また納付要件を調べてくれます、ここが初診日なら満たす、ここが初診日なら満たさないなどの細かいところも見てくれます、その時の相談内容が年金の受給に響くことはまずないです。

障害者手帳の関係で役所の障害福祉課で国民年金課に障害年金の相談してみれば、と言われることもあります。
役所の年金課より地域の年金事務所(各市町村にあるわけではないのですが)の方がちゃんと知識のある方(社会保険労務士)が相談に乗ってくれます。役所は基本申請書類一式をどうぞ、とどさっと渡してくれるだけ、という印象です。

役所関係がどうしても怖いという方もおられるのでそのときは、社労士に依頼するのがいいと思います。社労士も色々います。

テキパキさっさとすすめるタイプ(書類まだですか、みたいな催促あったりします)、
圧つよタイプ(見た目判断はダメだと思うけど、やっぱり雰囲気が苦手なタイプがあるなら、ホームページで写真とか見てから相談するのがいいですね)、
ふんわりタイプ(こんな若い人で大丈夫?と感じるかも。お若くてもたくさん勉強されていて新しい知識が豊富な方も多いです)



保険料について

どこをとっても納付要件を満たさないとき、第三者証明(ここでは内容は割愛します)も取れず初診日が確定しないときは、門前払いとなってしまいます。社労士に依頼しても年金受給はまず無理です。年金制度は社会「保険」ですから。

保険料納付がしんどい時、障害や傷病の悪化で退職して厚生年金をやめて国民年金の被保険者に変わっても国民年金保険料の免除申請(法定免除や申請免除)の制度もあります。
経済状況等で満額保険料納められないときの半額免除や学生免除もあります。
なんとか「保険料未納」の状態を放っておくのは避けましょう。
年金受給者や障害手帳の等級が重い人は法定免除されます。


おまけ
加算については18歳の3月末までの子、一定の要件に当てはまる配偶者がいれば出ます。3級以下は出ません。
レアケースですが夫、妻ともに障害年金を受給できる状態の場合、夫にも子の加算、妻にも子の加算が付きます。戸籍謄本などの添付が必要です。

これはレアケースに該当したご夫婦の申請で返戻があったため、最近知ったことで驚きました、よく調べるとそうでした。あやうく、受給できる権利をなくす(停止)させてしまうところでした。勉強不足ですみません。無事請求時から子の加算ありで通りました。


ここまで簡単に、のつもりが割ととりとめもない文章になってしまいました。厚生年金をやめるとかの表現も適切ではないし、厳密にはその説明、ちゃうやないかというご指摘もある方もおられるかもしれません。

障害年金といっても人それぞれの生い立ちや受診遍歴、仕事や年金の加入状況が違います。それをどうまとめるか、診断書にうまく反映してもらえるよう、診察室で医師にうまく伝えるのは難しいことかもしれません。

社会保険労務士に申請代行を依頼する?

社労士に依頼するメリットで言えば、やはり専門知識や経験があるので、書類作成や、申請のスケジュール、ご本人にしてもらいたいことを適切にお伝えすることができます。
病歴・就労等状況申立書もご自身での作成は困難です。ひとマスに一行とかもよくないし、障害や生活の困りごとに全く関係ないことを山のように書いたとしてもそれが年金の障害認定に役立つことはあまりないです。
関係ないことは書かない、必要なことは余さず、誠実に書く。これが申立書の極意ですw
社労士でない年金コンサルタントなどの肩書は、法律で禁止された代行業務を行っていると判断しても差し支えありません。それでもそのナントカコンサルタントに依頼されたい場合も個人の自由意思です。
障害年金ハックのようなカテゴリで動画も上がっています。
社会保険労務士として障害年金はそのような扱いでうまく獲得することができる!のような対象の制度ではないと考えます。社会保険です。「保険」です、該当したら申請してうけとる、その点では医療保険や生命保険と変わらないのになと思います。

デメリットはは費用がかかることです。障害年金の受給決定額の2か月分+消費税というところが多いようです。

自分で申請を出してうまくいかず心折れてしまったり、あきらめず再び申請をするときに社労士代行で申請することになるなら、はじめから社労士に相談してみるのもありだと思います。
様々な行政の制度は申請主義です、正しい知識がないともらえるものももらえない、公的扶助も弱者から言い出さないと受けられないのも事実です。このあたり、何とかならないものかとよく感じます。
かく言う私自身も「その制度知らなかった!」というような自治体独自の障害者手当金のような名称の給付金をもらえず数年過ぎていたということもありました。保護者同士のクチコミも力を発揮することもあります。

申請をするのが遅れるほど、年金の支給決定が遅れます。
着手金無料のところを条件に探してもいいと思います。受給率90何パーセント!とか年金に特化している!とかを信頼して依頼するのもいいと思います。どの数字を分母に、どの数字分子に取って割合を出してるのか知りませんが。


ちなみにのちなみに。
私個人が年金申請の依頼を受ける場合、養護学校や特別支援学校に通っていた方、障害年金勉強会に来てくれた方は成功報酬(通常受給年金額の2か月分が基本)も割引する予定です。
どんな割引内容かは、勉強会でお会いしたとき、または学校関係の口コミでご依頼いただいたときにお話しいたします。
各支援学校でPTA主催とかでされている勉強会あれば講師参加いたしますよー!

着手金は無料です。
自分で作成された申請資料の確認と簡単な添削だけさせてもらい、申請は自分でして頂く、
などのメニュー(有料)も作ろうと考えています。

ただ、年金が受給できるかどうかの判断は医師の診断書等を元に年金機構がしますので、社労士として◯級の年金が通る、などの確定診断をすることもしていません。納付要件など明らかに要件を満たさないときは、申請はできないとお伝えすることになります。


年金については私自身、今でも日々勉強中です。
また社労士としての仕事を障害年金の申請に特化するつもりもありませんので、受給率の公表やら必ず通ります!みたいな謳い文句をだすことも、障害児の親の立場を元に積極的な広告をすることもありません。

最後に、

私自身重い障害をもつ子の母として
障害と共に生きていくことのしんどさや不便さも知っていて、それでもやっぱり子供はかわいいよね、子供の未来が少しでも明るくなればいいよね、という思いを共感させてもらったり、
私の知識が少しでも障害をもつ皆様のお役に立つことができたらいいな、と考えて発信しています。

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