見出し画像

僕の好きなクリエーター046-諸星大次郎

古代の暗黒神話


この人の漫画を知っている人は僕の周りでは少ない。 この人の漫画のほとんどは古代の話が多い 最近の話もあるけど、真骨頂は古代の話である。

僕たちには、古代の話というのは本当はタイムマシンにでも乗らない限りは事実はどうだったか決してわからない。

つまりは昔のことは謎なのである。そこで人は本当はどうだったのかと知りたいと思う。そして色々と想像してしまう。 

たとえば、万葉集に書かれている聖徳太子の話があるが、まるで諸星の作った様な不思議な話がある。馬に乗って天を飛んだとか、聖徳太子は本当はいなかったとか。暗殺されたとか。妖怪だったとか。

現実には、法隆寺に200年も決して開けてはいけないという開かずの間があって、近代になってその開かずの間を開けたら、妙に艶かしい顔をした仏像が出てきて、眉間に釘が打たれているとか それは聖徳太子の怨念を封印するためのものだとか? 古代の話には不気味なものが多かったりする。 そういう人々の想像してしまう話を 諸星大次郎は独自の視点で漫画にしていく。

七福神の話

聖徳太子の話は諸星大次郎は漫画にしているかどうか僕は知らないが、七福神は本当は6福神で縁起の悪い象徴で。妖怪だったという話を描いたりしている。

僕がこの話が妙に気になるのは、昔、母親が7福神にはお参りに行けないと言ったことがあるからだ。『どうして?』と聞くと昔から うちの家系は7福神にお参りに行くと何か悪いことが起こるというのだ。

その話と諸星大次郎の不気味な6福神の話が妙にリンクして 不気味で不思議な気分になる。そういう古代の神話の様な話を、諸星大次郎は暗黒神話として描くのが得意なのだ。

現代の話を描いた不安の立像

イエスキリストの話 6福神の話 邪馬台国の話 どれも印象的で不気味な話だが、実は彼の作品にはもう一つの流れがある・現代の不安を漫画にしようとするストーリーの流れだ。その中でも僕はずっと昔に彼の漫画を見て今でも忘れられない回があるのだ。

それは不安の立像という書き下ろし漫画だ。男が電車に乗っていて何気なく窓の外を眺めていると、あいつが立っている。黒い影の様な存在。あいつはあそこで何をしているのか? 他の人間にあいつは見えないのか? 主人公は他人にあれはなんだと、確かめてみる。 他の人間にも確かにあいつは見えるのだが、それがどうした?と無関心なのだ。恋人にも、だからなんなのよ?あんなものが気になるなんてどうかしてるんじゃない?と無視されてしまうのだ。だが、主人公は気になって仕方がない。 けれど他人は無関心。 そして主人公はあいつに近づいていく。 

それでどうなったのか? いや、あとはあなたが確かめてみてください。





いいなと思ったら応援しよう!

leather goods lab
サポートなんて とんでもない!いや、やっぱりお願いします。次の商品開発の足がかりにします。決して呑みになんか行きません!