人材に優劣はない?見るべきは「フィット」感という話。~組織診断ツールから多様性を考える~
みなさんこんにちは。
黒川公晴です。
これまでのコラムでも
何度かテーマとして登場している「多様性」。
本日もこの多様性について、
別の角度からお話しようと思います。
■多様性を診断するツール「AEM-Cube」
私が代表を務める合同会社こっからでは、
オランダのHuman Insight社と提携して
「AEM-Cube」という組織開発ツールを
日本で展開しています。
AEM-Cubeは、一言で言うと
「組織の多様性レベルを見える化する」
ツールです。
Human Insight社は長年にわたって
組織の多様性とパフォーマンスの関係について
研究を重ねており、
2017年にはハーバード・ビジネス・レビュー誌で、
AEM-Cubeを含むその研究内容について発表しました(記事)。
HI社の研究によれば、
「組織の多様性が高いほど問題解決が早くなる」
ことがわかっています。
■「AEM-Cube」で測る多様性の3軸
多様性レベルを可視化するAEM-Cubeは、
組織のメンバー1人ひとりが本来持つ趣向性を
以下の3軸で測定します。
■横軸:
「探究型」か「安定型」か。
右に行けば行くほど、
未知なる世界の発見、探究、実験を好むタイプ。
左に寄ると、標準化・型化・効率化を好む。
■縦軸:
「コト派」か「ヒト派」か。
字義の通り、手前に寄るほど「仕事の内容」を
重視するタイプであり、奥に行くほど
「誰と働くか」を重視する。
■高さ:
「ジェネラリスト」か「スペシャリスト」か。
背の高いジェネラリストほど、自分の領域を超えた
チーム全体への俯瞰的視野を持つ。
特に答えのない複雑な問題に直面した時、
ジェネラリストは自分以外の知見を動員し、
スペシャリストは自分の経験と専門知識に頼る。
こうして組織のメンバーそれぞれが、自身の特性に
沿って左側のキューブ内にプロットされ、
その配置バランスを見ることで組織内の多様性が
可視化されていきます。
■組織に必要な多様性のバランス
面白いことに、このバランスに正解はありません。
組織の目指す方向性が、その時組織に必要な多様性を決めるからです。
例えば一つの参考となるのが事業フェーズです。
図右側がプロダクトやサービスの典型的な盛衰を表すいわゆる「Sカーブ」ですが、左側キューブのどこに位置するかによって、その人が「潜在的にSカーブ上のどこで最も力を発揮する人材か」がプロットされていくのです。
例えば事業立ち上げ期にはより「探求」型の人材が求められることは容易に想像できますし、事業が成熟してくるといかに効率的な運営を行うかが重要となるため、「安定」型の人材が活躍しやすくなります。
このほかにも、組織としてより営業に力を入れていくべき時期であれば
「ヒト」派の人材起用は欠かせないでしょうし、
組織全体の横連携が課題になっているのであれば、
視座の高い「ジェネラリスト」型や、
平面のちょうど真ん中に位置するような人材が重宝されます。
■人材に優劣はない。大事なのはフィット感
私がこのツールの根底にある考え方で共感するのは、「人材そのものに優劣はない」という哲学です。
そもそも組織が目指すべき方向性は明確なのか。
それは全員で共有できているのか。
その方向性にフィットする役割分担や
育成をできているのか。
実は苦手な役割を演じさせ、本来1人ひとりが輝くはずの趣向性を殺してはいないか。
AEM-Cubeは、こうした組織の本質部分をメンバー全員で考え、丁寧に対話していくためのツールにもなります。
最近はHRビジネスパートナー(HRBP)という
考え方や役割がずいぶん浸透してきましたが、
まさに事業戦略のレベルで「人」や「組織」を捉える新たな視点でもあります。
KOKUYO様のオウンドメディア「MANA-Biz」でも
詳しく解説していますので、ぜひ覗いてみてください。
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