120年前の「学校調査」の話

近代以前、日本の教室は今の「教室」の認識とは全く違いました。
机、椅子というものがなかったのです。

それが、1972年の学制を境に変わっていくのです。

西洋の学校建築、西洋の教室環境が日本に持ち込まれるようになりました。
西洋の「形」にこだわっていたそうです。

こんな話があります。

120年前、役人は、「新しい教育」の形に沿った学校がきちんと機能しているか全国を調査しました。

地方で西洋風の学校ができたと聞き、そこへ向かいます。

役人が歩いていくと、西洋建築の建物が見えます。

役人は、歩きながら「椅子と机はあるのか」と問います。

お付きの者は、「はい、教室には椅子と机が揃っています」と答えます。

役人は、よろしい、と言い、学校の中は見ずに次の現場に向かったそうです。

この話は、誇張や、いささか風刺の意味合いもあるのかもしれません。

しかし、「形」にこだわる当時の教育に対する雰囲気が伝わってくるように思います。