リーダーシップ論のジャングルをうろつくためのガイド
リーダーシップ論ていうのは分かりにくい。というか、深めようとし始めると分からなくなっていく。その主な理由は、リーダーシップ論があまりに多様で、しかもそれらが互いに矛盾しあっているように思えるからだ。なにか一つを学んでなんとなく得心した気になってみても、別の学びを得たとき、ふと気がつく。あれ?この考え方は、こないだ学んだ教えと逆なんじゃないか?
「俺のリーダー論」
「俺のリーダー論」は百出している。この類は、物語としてはなかなか面白い。個人の体験談(リーダーシップ談)が多く語られる、エピソードフルな事が多い。大体が困難な問題を突破した経験と、そこから得たLessons Learnedだ。その物語は起伏に富んでいて、ハラハラドキドキだ。そしてそこから導き出される学びは、リアリティに溢れている。そしてそのエピソードに感動した私達は思う。よし、私もそうしよう。この学びを活用すれば私もリーダーになれる。
でも大体その試みはうまく行かない。なぜなら、①全く同じ場面なんて存在しないし、②そこでリーダーシップを発揮しようとしている自分も、リーダーシップ武勇伝の登場人物とは別の人格だからだ。
やや失意したあなたはしばらくリーダーシップから遠ざかり、これまでと何も変わらない自分で生活を続ける。そうしているうちに、ふとしたきっかけでまた異なる「俺のリーダー論」に触れる機会が訪れる。あなたはここでまた学ぶ。そしてそのリーダーシップを活用しようとする。またうまく行かない。こういう経験を数回繰り返しているうちにあなたはこういう悟りを開くかもしれない。
リーダーシップ論なんてまやかしだ
リーダーシップに再現性はない
リーダーシップは天性のものだ
自分にはリーダーシップがない/向いてない
こうなると、もうあなたはリーダーシップ・ジャングルを探検しようなんて思わなくなるだろう。
草むらの中をあと一歩進む
個人的にはそれはとても残念だ。たしかに分かりにくい。矛盾しているように思える。または自分には縁のないもののように感じる。でも、それは「解明不能である」というわけではないし、一見矛盾に思われるものでも別の見地からみれば整合ししているなんて言うことはよくあることだ(アウフヘーベンというやつ)。そして、まだわからないうちから「自分には関係のないこと」と思ってしまうならそれこそ早計だろう。
あなたはまだジャングルの入り口でウロウロしていたに過ぎない。強い磁場のせいでコンパスがおかしくなってしまって、引き返してしまっただけだ。もう少しだけ先に進んでみてもいいのではないだろうか。そのうち土地勘もついてくるだろうし、まだ誰も見つけたことがない遺跡を発見することだってあるはずだ(ちなみに、「リスクが大きい」(不確定な事柄が多い)中でも行動をやめないのもリーダーシップの一つだ)。
ジャングルで野宿するためのコンプリート・ガイド
これから数回で、百出するリーダーシップ論にであってもたじろがず冷静に受け止め、観察し、自分の中の引き出しに整頓して格納できるようになるためのガイドを試みたい。その過程で、以下のような議論をしていきたい。
リーダーは先天的に決まるのか、後天的なのか?
リーダーは限られた人しかなれないのか?
リーダーシップは然るべきポジションについた人が発揮するものか?
リーダーシップは「ある」か「ない」かなのか?
リーダーシップは、人を不幸にするか?
リーダーシップは、他者がいるから必要なことなのか?
リーダーシップ論とは結局人それぞれなのか?
リーダーとは、ガンジーとかチャーチルとかイーロン・マスクとか、歴史に名を刻んだ偉人のことなのか?
例によって天邪鬼が書くものだから、やや異説めいた感じを受けるかもしれない。しかし自分としては「これこそ正論」と思う論を展開していくつもりだ。ただ天邪鬼だからこそ切り取れる独自のアングルもあるものなのだと理解していただきたい。アングルが違うだけで、見ているものは同じものだ。
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