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谷川岳
月曜日仕事を休んで、秋の谷川岳へ。
夏に一人で登った時に、オキの耳へ行くのを忘れて帰ってきてしまったので、きちんと両耳踏んできたいという思いをインスタでアップしたところ、山友さんが手を挙げてくれて、ご一緒できることになった。
彼女とは、私が登山を始めて少し経って、やっと遠くの山まで行けるようになった頃に、縁あってグループ登山で一緒に唐松岳に登った。
その時の山友さんとは数名の方と今でもつながっていて、あの時の登山に行って本当に良かったと思っている。
2年ぶりに会ったのに、まるで先週会ったみたいに挨拶を交わした。
インスタで楽しそうな登山の様子をお互いにいつも拝見しているので、会ってすぐ自然に接することができた。SNSの良さを実感した。
10月後半にさしかかった谷川岳は、前回の暑さとは打って変わって、涼しくて登りやすい。
前回は一人でハイペースに登ったので、ただただ暑くてきつかった。
今回は、度々立ち止まっては紅葉の素晴らしい景色に2人で歓声をあげ、写真を撮りながら登ったので、前回の辛さはなんだったのかと思うほど楽に登れた。
やっぱり、私はゆっくり登るのが好きだ。
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山頂手前から風速8mの強風が吹き始め、慌ててレインを着た。
肩の小屋へ急いで入り、風を凌いだ。
どんなに快晴でも、8mもの風が吹くと寒い。
こんな日はお湯とコーヒーやココアがあったらとても嬉しいのに、荷物を軽量化したくてバーナーも保温ポットも持ってこなかったのを悔やんだ。
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持ってきたおにぎりとリンゴを小屋で食べた。
暖まりたくて小屋の豚汁をいただいた。
外国人の登山者がお餅入りのお汁粉を英語で頼んでいた。
スタッフの方がお餅を英語で説明したかったらしく、私達を含む小屋の客に向かって「お餅って英語でなんて言うかわかりますかー?」と聞いていたので、「Rice cake!」と答えてあげた。
他にもいろいろと英語対応を教えると、お礼にレモンをお砂糖で煮詰めたものをサービスしてくれた。
疲れた体に酸味と甘みと小屋の方の優しさが染みわたり、良い滞在になった。英語を勉強していてよかった。
カメラを趣味にしている友人と一緒に登ると、気兼ねなく立ち止まって写真を思う存分撮れるのがとてもいい。
お互い意識してない姿を取り合って、あとで送ってもらうと、自分の自然な感じや、普段知ることのできない山にいる最高の自分を見ることができてとても嬉しい。
彼女のようにセンスがある方に上手に撮ってもらえるのは尚更嬉しい。
私もどんどん彼女と山が一体化している写真を撮った。
被写体とカメラマンの関係性が写真に出ると本で読んだことがある。たまに、ハッと息を呑むほどのすごくいい感じの瞬間に見知らぬ方が入っているけど撮りたくなる。そんな時は撮ってからお声がけしているが、そういう写真にはどこか距離感というか緊張感が表れている気がする。
逆に友人を写した写真には温かみが感じられる気がする。
風が少し止んだように見えたので、小屋の外に出た。出てすぐに帽子が吹き飛ばされた。
風速はほぼ変わらなかった。でも意を決して二つの山頂へ向かった。
「ここは風の通り道だから風が強いのかもしれないです」と教えてくれたのは、谷川岳ロープウェー乗り場で偶然お会いしたモデルでYou Tuberの山下舞弓さん。
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風の通り道という言葉を登山の時にたまに耳にするが、どこが風の通り道なのか、全くわからない自分がいる。
登山の時に、天気マークと気温、風速、雷予報はチェックするが、どの方角から風が吹くのか、山の地形から考えて風の通り道や風の強い場所はどこなのか、ノーチェックで登っていたことに気が付いた。
次からは風の通り道もちゃんと確認してから登りたいと思った。
舞弓さんの言った通りだった。少し登ると強風はおさまった。
前回来たトマの耳よりも行き忘れたオキの耳へ先に向かった。
トマの耳からの景色もオキの耳からの景色もそんなに変わらないよ、と前回行き忘れたときに友人が慰めて言ってくれたけれど、自分の目で確かめてみると、トマからオキへの道から見える景色が好きだと思った。
これは行くべきだ。
向かって右手にクライマー3名がロープを使って岸壁を登ってくるのが見えたのに興奮した。
カッコよかった。
そして左にはいつか歩いてみたい平標山へ続く美しい稜線。
この稜線を見て何度ため息が漏れたことか。
谷川岳の一番好きな景色がこの稜線だ。山頂から左右斜めにすぱっとナイフで切り落とした様な稜線はいつ見ても惚れ惚れするほどかっこいい。
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今年二回目の谷川岳になるが、ちゃんとオキの耳にも行ってきて良かった。
山に行ったら、行けるところ、見れる景色全部見て帰ってきたい。これは別の山友さんからの受け売りだ。まさにその通りだと思った。
下山中も紅葉の美しさに二人で歓声が止まらなくて、ワーワー言っては笑い合っていた。
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西に傾きだした陽が山肌や木々に当たると、紅葉が輪をかけて美しくなる。登りとは全く違った色合いにシャッターが止まらない。
時間や光の当たり具合によって山の景色や表情が変わる。それが面白い。
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最後までゆっくりペースで下山。ヘトヘトと言う感じの疲れがほとんどない。
やっぱり急がないって大事だ。ケガもない。
「楽しかった」という感覚と心地よい疲労が残るだけ。
下山後は美味しいものを食べに。
ずっと気になっていた「大とろ牛乳」の看板があって、初めて食べてみたら、ソフトクリームよりもさっぱりしていてすごくおいしい。調べたところ牛乳にコラーゲンをいれたものらしい。いろんなトッピングがあり、これはまた食べてみたいと思った。
そして、上州牛100%ハンバーガーを食べて大満足で帰路に着いた。
同じ山に2回以上登ったのは、燕と赤岳だけだったけれど、谷川は3回目もあるかもしれないな思った。それほど自分の中で特別な山になった。次回登るときは雪山になっているかもしれない。
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