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【短編】夢の朝食

枕元の照明を消して、私はようやく私に戻った。

生きづらいと言うほどでもないが、窮屈な日々。ほんの少しだけ噛み合わないことばかりの日々に、心が疲れているのを感じていた。
目を閉じても、眠りに就けない。また照明を点けて立ち上がり、睡眠薬を服用した。
15分ほどして、ようやく効果が出てきたようだ。目を瞑ると、意識は次第に遠のいていく。


夏菜実ななみ、そろそろ起きなさい」
眠い目をこすりながら、私は身体を起こした。珈琲の香りがする。辺りを見回す。眠る前と景色が一変していた。ログハウスのような、優しい雰囲気の部屋。
「…ここ、どこ?」
「ようやく起きたようだね」
ベッドの脇に立っていたのは、大きなクマだった。手には温かな料理の載ったお盆を持っている。
「…クマ!!」
反射的に私はベッドから起き上がり、クマと距離をとった。ファイティングポーズになり考える。鼻を蹴るといいんだっけ?いや、死んだフリか…?
「安心しなさい。私は襲ったりしないよ」
どこか懐かしい女性の声で、クマは話す。
「今のあなたには、これが必要だ」
そう言って、テーブルにお盆を置いた。私は警戒しながら、そっと覗き込んだ。

ほかほかと湯気のあがるコーンスープ。カリカリに焼かれたベーコン。キラキラと輝くスクランブルエッグに、つやつやのバターロール。真っ黒な珈琲は、私の好きなキリマンジャロのようだ。

「…食べなさい、夏菜実」
そう言って、クマはにっこり笑った。私は食欲に負け、椅子に座り
「いただきます」
と言った。バターロールを手に取った瞬間、目が覚めた。


「……夢か」
私はがっかりした。せめてベーコンだけでも食べたかったのに。それにしても
「おいしそうだったなぁぁ……」

チャイムが鳴った。理央りおが訪ねて来るのを忘れていた。パジャマのまま、私は彼女を迎え入れた。
「どうせ朝ごはんもまだだと思ったよ。ほら」
そう言って彼女は持参した袋を見せた。
「ちょっと待ってて」
理央はそう言うと、料理をはじめた。
私はぼんやりとして、今朝の夢を思い出していた。あのクマの声。あの声って、もしかして……。
「はい、どうぞ」
理央が持ってきてくれた朝食を見て、私は驚いた。夢に見た、あの朝食と同じラインナップ。キリマンジャロの香りが、鼻をくすぐる。
「ありがとう、理央!それじゃ……」
「いただきます!!」
二人で声を合わせて言った。今度は食べ逃さないように、ベーコンから食べることにした。




あとがき

僕は朝ごはん和食派です。

でもカリカリベーコンは嬉しいよね。できる限りカリカリにしてほしいよね。…いや、自分で焼くからいいんだけどね。

『夏菜実』と『理央』はそれぞれ、日向坂46の小西夏菜実こにしななみさんと、清水理央しみずりおさんからお借りしました。りおなな。
こに(小西さんのこと)。以前こちらの記事でも書きましたが

はい、小西沼に落ちました。

この間までは「膝下まで沼に落ちたかなー」くらいだったのだが、今はもう全身落ちた。息ができないくらい。美しさは勿論なんだが、リアクションの良さとか色々ツボ過ぎて…。

理央ちゃん。
つくづく思うのだけれど(前お名前をお借りしたときのあとがきにも書いたけど)、理央ちゃんにしかない華があると思う。甘さもクールさも表現できる唯一無二のオーラ。どんな曲にも対応できる才能があると思う。これからが楽しみすぎてもう、ずっとワクワクしている。

りおななは天下を獲ると思ってる。二人とも、ずっと応援しています。これから寒くなるので、体に気をつけてほしい。


さて、ご飯はとても大切。
何気なく思い出したのだが、体調を崩す前は食事を摂らないことも多かった。深夜に何か食べるだけ、とか。
今はおにぎり一つでも食べるようにしている。もしくは味噌汁だけでも。そうすると、朝の楽しみにもなる。
そういえば、朝ラーメンなる文化(?)もあるそうで…。いつかはやってみたい。
では、あとがき終わり。読んでいただきありがとうございました。

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