【空想エッセイ】昨夜の話(6)
僕は窓を開けた。すっかり冷え切った空気が、もうすぐ秋が去ろうとしていることを告げる。大好きな岩手山にも、雪が降ったという。
「雪かき、面倒だなあ…」
ため息をついて、空を見上げる。百鬼夜行だ。
心なしか、参加者の数が少ないような…。
「わっ!」
窓の下から一つ目小僧が現れ、僕は飛びのいた。
「びっくりしたあ!」
「大成功~!」
一つ目小僧は上機嫌だ。僕は気になったことを尋ねた。
「百鬼夜行、数が少なくない?」
「あー、大丈夫!寒いからみんなnoteを読んでて、百鬼夜行サボってるんだ」
「…ぬらりひょんに怒られない?」
「実は、そのぬらりひょんが来てないんだ」
「えっ!?」
ぬらりひょんが百鬼夜行に参加しないなど、異常事態だ。まさか、具合でも悪いのだろうか…。
「ぬらりひょん、日向坂46の『ってか』と『絶対的第六感』のダンスをマスターしたいんだって!」
僕は戦慄した。なんだって、そんなに難易度の高い曲に挑戦しようとしているのか。
「おすしちゃんに見せるんだって意気込んでる」
「…金村ちゃん、そう簡単にぬらりひょんに会ってくれないと思うよ」
「……だよね」
二人で大笑いした。まあ、ぬらりひょんが楽しいならそれでいいのだ。
「そういえば、酒呑童子くんから伝言!」
「酒呑くんが?」
嫌な予感がする…。彼からの伝言ということは…。
「『ナルへ。もっと魅力的な小説を書け。大江山に埋めるぞ』だそうです!」
…やっぱり。
酒呑童子は、僕の小説に対してとても『カラい』。以前からダメ出しの嵐だった。初期のホラー作品なんて「駄作の極み」「産業廃棄物」「地獄の餓鬼でももう少し上手く書ける」と酷評されまくった。
「頑張らないとなあ…」
「そういえば、イッポくんと夜行さんは?」
彼らが来ないのも珍しい。一つ目小僧はニヤニヤしながら
「イッポくんはnote読んでるけどさ…」
と、もったいぶっている。
「夜行さんは?」
「…実は、首切れ馬と喧嘩して落ち込んでるの」
「また?今度はなんで?」
一つ目小僧は、僕のパソコンを指差す。画面には日向坂46。
「首切れ馬はYoutubeで日向坂が観たいのに、夜行がコントばかり見てるから喧嘩になったの」
「…首切れ馬もハマったんだ!嬉しいなあ…」
「推しは平岡海月ちゃんだって!」
「素晴らしいよ、首切れ馬!夜行はいつまでも日向坂を覚えてくれないからなあ…」
「さて、そろそろ行こうかな」
「今日は早いね。予定でもあるの?」
「ぬらりひょんが『ダンスを見てくれ』って言うんだ…」
そのとき、一つ目小僧のスマホが鳴った。
「酒呑くんだ」
「うっ…」
小言が飛んでくる準備をした。だが、その電話は予想外の内容だった。
「もしもし……えっ、ほんとに?…うん、それで……そっか、ありがとうね、酒呑くん」
電話を切った一つ目小僧は、無表情のまま僕に言った。
「ナルさん…どうしよう…『ってか』のダンス…」
「ダンス?」
「ぬらりひょんが『ってか』踊ってぎっくり腰になったって!」
一つ目小僧はため息をついた。
「大丈夫なの、それ?」
「酒呑くんが看てるから、大丈夫だよ。あーあ。だから言ったのに」
「まあ、楽しんでるからいいんだけどさ…。無理はしないでほしいよねえ…」
「まあ、これで予定なくなったし。ナルさんもっと遊ぼう!」
「君もなかなか淡白だよね…」
こうして、夜が深まっていく。
了
あとがき
推しは丹生ちゃんなんですが、尊敬する人物は金村美玖(おすし)ちゃんです。
「金村美玖」という、努力の人を知ってほしい。
彼女の努力と誠実さを、笑ってほしくない。
以上、X界隈の人たちへの伝言です。誹謗中傷する人、大嫌いです。
失礼な言い方をしますが、一生関わりたくない。ネットでも現実でも。
ぬらりひょんも相当に怒っている。
なので今日は彼らの力を借りて、僕なりの抗議をさせてもらった。
騒動を知らない方にはごめんなさい。見苦しいあとがきになった。
せっかくなので、『ってか』のリンクを貼ることにする。おすしちゃんセンター曲。ダンスもかっこいいからぜひ観てほしい。
金村美玖という、僕の尊敬する人の素晴らしさを知ってほしい。
気に入ってくれたらうれしい。
ぬらりひょんも、腰を押さえながらそう言っております。治るまで、もう少しかかるみたい…。
本編について言えば、うっすら新キャラを出してみた。
登場を楽しみにしてくださいませ。