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思い出と夢とロックと。

the pillowsの解散を知って、僕は高校時代を思い出した。

僕の高校時代、週刊少年ジャンプに「SKET DANCE」という漫画が連載されていた(連載期間は2007年から2013年)。開盟学園高等学校を舞台に学園生活支援部、通称「スケット団」の活躍と日常を描いた学園コメディである。


その作品のエピソードの中に、the pillowsの名曲「Funny Bunny」が登場するものがある。
ネタバレは避けたいのでおおまかな説明にはなるが、夢へと踏み出そうとする生徒へのエールとして、スケット団の面々が演奏する曲。それが「Funny Bunny」だった。

当時、僕はメタルやヴィジュアルロックに傾倒していた。自分で言うのもあれだが、音楽に疎い状態から本来通るべきロックを素通りしてメタルに突っ込んで行ったので、知識が偏っていた。つまり、何が言いたいかというと、当時の僕はthe pillowsを知らなかった。

ジャンプ本誌に掲載されたエピソードを読んだとき「素敵な歌詞だな」と思ったのを覚えている。そして、初めて聴いたときの衝撃を忘れられずにいる。
それからつらいことがあるたびに、僕はFunny Bunnyを聴いている。

キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を選んで 走ってきた
飛べなくても不安じゃない 地面は続いてるんだ
好きな場所へ行こう キミならそれが出来る

the pillows「Funny Bunny」


以前の僕の夢は、法律家になることだった。
皆様がご存知の通り、僕は現在15年以上にも渡る闘病生活の只中にいるわけで、夢を叶えることはできなかった。
まっすぐな道を、歩けなかった。
ずっと、ずっと向かい風の日々だった。
死んでやろうと思った日もあった。
夢なんて、と思った日もあった。
そんな日ばかりだった。

解散の報に触れ、改めてFunny Bunnyを聴いた。

僕が向かい風ばかりの日々を生きたのは、それを選んだからではない。
描いた夢なんて何一つ叶えられなかった。

法律家になって。
誰かと恋をして。
結婚するかもな、子供も授かるかもな。
もっと人の役に立ちたい。
誰かの痛みに寄り添いたい。

何一つ、叶えられなかった。

でも、好きな場所へ行ける。
地面が続いているのだから。

この長い闘いの日々。

その先にある、幾許かの幸福。

やっぱり、僕は向かい風に立ち向かおう。


僕の今の夢は「病気を全て治すこと」だ。
そのために、風の強い日を選ぼう。つらくても歌いながら生きよう。
そして、そしていつか。

夢の形は変わった。
目指すものは変わった。
だけど、本質は変わらない。

誰かのためになりたい。
痛みを抱えた人の支えになりたい。
今は、言葉を通してそうなれたらいいなと思っている。
この夢を叶えたい。
叶えられた日に、また歌おう。


ありがとう、the pillows。
そして、これからもよろしくお願いします。
僕が夢を叶えるまで、一緒に歩いてくれたら。

涙が止まらないよ、ちくしょう。

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ナル
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