【SS】W.W.W
第三次世界大戦間際とまで後に言われるほどに、世界情勢は悪化していた。各国首脳や国連はこれ以上の紛争を回避するため、知恵を絞った。戦争以外の手段での国際紛争の解決策。もはや国際法すら存在意義を失っているこの世界に、そんなものはあるのだろうか。
国連職員であるジョナサンは、別件で盛岡に来ていた。
そこで彼が目にしたのは、さまざまな争いを『わんこそば』ですべて解決する盛岡の民だった。個人的ないざこざ、不良集団の抗争、痴情のもつれ。『わんこそばをどれだけ食べられたか』でそのすべてが解決されていた。
「…これで、世界は変わるかもしれない」
ジョナサンは心を躍らせた。すぐに職員を手配した。
老舗わんこそば屋の主人でこの道70年の三本柳忠衛門(92)は、ジョナサンの提案を快諾、自らが国連本部に赴く決意を表明した。
こうして、世界の命運をかけた『国際わんこそば大会』の開催が決定したのだ。
国連事務総長・バーンズは『国際わんこそば大会』の開催決定の報を受け、涙を流していた。これ以上国際紛争で無益な血を流さずに済む。これこそが平和。これこそが国連の果たす責務だったのだ。
ありがとう、盛岡。ありがとう、わんこそば!
だが、彼はまだ知らなかった。
盛岡という地に住まう若き大食いモンスター・上堂竜ノ介(19)のことを。そして、彼の神がかった暴食によりこの世のすべてが盛岡に支配されてしまうことを……。
【続く】
あとがき
続きません。
ちなみにタイトルであるが
W・World
W・Wankosoba(わんこそば)
W・War
の略である。この世はわんこそばがすべて。
「この世は大わんこそば時代…」って某海賊アニメみたいなナレーションをつけてもいい、つけてほしい。
ちなみに『三本柳』と『上堂』は、盛岡市内の地名である。
なお、盛岡市民は平和的な方が多いとはいえ、わんこそばですべてを解決しているわけではない。なので、盛岡に行って「わんこそばですべて解決しようぜ!」などとは言わないほうがいい。ちょっと恥ずかしい思いをするだけだから。さて、
岩手・盛岡の関係者の皆様、映像化・アニメ化の連絡お待ちしています!!
(勿論冗談ですが、万が一話が来たら続きを書くだろう)
余談だが、盛岡時代は一回もわんこそば食べなかった。一緒に行ってくれる友達がいなかったから……泣きそう……。