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誤字審査【毎週ショートショートnote】
昨今の教員不足を受け、国は『採用特別枠』を設置した。これは、その五次審査のお話である。
「大園さん。この小論文、どういう風に審査するんですか」
「ん、誤字のないものはみんな落選で」
担当職員たちは、文部科学省から来た大園の発言にどよめいた。そのうちの一人が手を挙げ問う。
「…誤字の有無だけで判断するんですか?内容は」
「誤字のあるものの中から、できるかぎり倫理観に欠けているものを選んで採用する」
「どういうことですか。教員としてあるまじき人間が選ばれてしまいます」
大園は背伸びをしてから笑った。
「『採用特別枠』で選ぶのは、ただの教師じゃないよ」
「…と言いますと?」
職員たちは固唾を呑んで大園の言葉を待った。大園はにやりと笑う。
「僕らがここで選ぶのは、倫理観と教養がなくて『こうはなりたくない』と子供に思わせる大人」
「…つまり?」
「反面教師さ」
さあ、みんなで誤字を探そうか。
大園の合図で、一斉に誤字審査が始まった。
了(402字)
こちらに参加しています。
あとがき
反面教師を子供に近づけたら駄目だろ。
『大園』は櫻坂46の大園玲さんよりお借りしました。大園沼に落ちそう。いや、もう既に…。
休筆中ではあるが、毎週ショートショートnoteだけは参戦したかったので、ちょっぴり頑張ってみた。あとがきでボケたいが、いまいち思い浮かばない。悲しい。休筆長引いても、これだけは参加してみせる!
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