見出し画像

画家の友に捧ぐ

あまりに突然すぎやしないか。
せめて言葉を残してはくれないか。
恨み言が出てしまうくらいには、あなたは親愛なる友だった。
届かなくとも構わない。僕はここに綴ろう。

僕が消えそうなとき、あなたは待っていてくれた。
僕にはそれが心強かった。
だから、僕は待つことにしようじゃないか。
たとえどんなに時間がかかっても。
僕がよぼよぼのジジイになっても。
ここがある限り、待っていようじゃないか。

みんな待っているなどとは言わないよ。
きっとそれが負担になるでしょう?
それでも僕は待つと言うよ。
これは当て付けだ。
人知れず去ったあなたへの当て付けだ。
僕の死にたさを知っていた、あなたへの当て付けだ。

最初にあなたがコメントをくれたエッセイを読み返したよ。
コンテストは落選だったけど、僕は嬉しかった。
あなたという一人に届いたのならば、僕はそれでよかった。
だから、あれは僕にとってかけがえのない傑作になった。

もし読んでいるのなら。
ここには戻らないとしても。
せめて健やかに生きてほしい。
穏やかに生きてほしい。
何十年か先に、あの世で初めて出会おうか。
それを願って、僕は綴るよ。

ありふれた日々を。
アホみたいな日々を。
かけがえのない日々を。
あなたのいた日々を。

最後にひとつだけ。
何食わぬ顔で、戻ってきてはくれないか。

ナル



最初は書かないつもりだった。
それぞれに事情もあろう。話したくないこともあろう。僕はそれに立ち入る権利はないし、僕にできることがあったのなら、言ってほしかったと願うばかりだ。
だけど、僕はこの気持ちを綴らなければ、noteを続けられない。
親愛なる画家よ、そう、そこのあなただ。
出会えてよかったと思っているから、どうか届いてはくれないか。
あなたのいないここは、あなたが思うより寂しいよ。

いいなと思ったら応援しよう!

ナル
いただいたチップは、通院費と岩手紹介記事のための費用に使わせていただきます。すごく、すごーくありがたいです。よろしくお願いします。チップって名前にちょっとだけ違和感…。