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部活動指導者の募集と採用は、コネと口コミだけでいいのか
▼口コミやコネによる採用の現状
今までの部活動指導者、特に外部指導者や部活動指導員の人材確保は、学校関係者や地域コミュニティからの推薦が中心でした。
このやり方によるメリットは、身近な交友関係を基本にして構築された信用を担保に、信頼出来る指導者を確保出来るという点です
しかし、この様ないわゆる口コミやコネによる採用では、客観性を欠いてしまうという指摘もあります。
口コミやコネによる人材登用は、採用規模が小さい場合は、手軽で安心して利用出来る手法と言えますが、その規模が大きくなればなるほど客観的な基準による選抜が必要になってくるのではないでしょうか。
▼偏った思想、知識による指導にならないために
客観的な基準がない状態で採用された人材は、偏った思想、知識による指導に走ってしまう可能性が否定出来ません。
また、推薦者との人間関係などのしがらみが、指導内容の改善のためのアドバイスや指摘の躊躇に繋がってしまうことも考えられます。
つまり、ある一定の客観性を採用段階で取り入れないことが、指導現場の閉鎖性を助長してしまい、体罰、パワハラ、セクハラが発生しやすい温床を作ってしまうのではないかという危惧もあります。
▼地域毎の質のバラつき抑える全国基準
本協会の「全国部活指導者マップ」の理念として、指導者選抜の段階において、ある一定の客観性を持たせることを1つの大きなコンセプトにしています。また、検定試験、資格取得後の定期研修会の実施によって指導者の高い水準の維持をするための体制の構築を狙っています。
これから部活動地域移行のための政策が実践されていくなかで、ある地域では勝利至上主義に偏ったり、またある地域では非科学的指導がまかり通ったりなど、それぞれの指導者の質について地域毎のバラつきが生じてしまわないような体制作りが必要です。
▼高い意識を持った指導者の活躍のための支援
また、正しい知識を身に付けようという意欲を持った指導者と、そうでない指導者との区別につながる基準を示すことは、高い意識を持った指導者の活躍を支援する意味でも、非常に重要なことと考えています。
本協会は、2015年から部活動指導者を対象に研修会を開催してきました。その経験から実感として思うことは、全国各地には、日頃の部活動指導について、研鑽を積みながら地道な努力を続けている指導者がたくさんおられるということです。
この高い意識を持った指導者に、より多くの指導の機会を提供することを可能にするためにどうしたら良いのか。恐らく、コネや口コミだけで指導者を探す仕組みでは、一部の人間関係のなかで人材発掘が完結してしまいます。つまり、その手法では、手が届かない優秀な指導者がたくさんいるということです。
やはり、特定の地域、特定の団体、あるいは特定の既得権を持った指導者のための仕組みではなく、人材確保の課題に対して、広く開かれた公共財になり得る仕組みの構築が必要なのだと考えます。
部活研は、これからも具体的に行動します。