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大きくなったらサーティワンのお姉さんになる
さて、一つ目のアルバイトのお話ですが
その前にちょっとしたエピソードを。
幼い頃、家の近くにサーティワンがあって
時々母が連れていってくれました。
母はキャラメルリボン。
兄はクッキー&クリーム。
私は決まってオレンジシャーベット。
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今は「オレンジソルベ」と言うそう
サーティワンといえば子ども心をくすぐりそうなファンシーなフレーバーがたくさんあるのに、私はオレンジシャーベットのシンプルで爽やかな味わいが大好きでした。
お店ならではの硬いコーンも好きで、シャーベットとコーンて合うの?と母に笑われながらいつも同じ組み合わせで頼んでいました。
そして注文後のお楽しみは、店員さんの手元の観察。
見るからに固そうなアイスクリームが、店員さんの手にかかるとするすると削れてボールのように転がって、チョコチップやキャラメルソースやフルーツをくるくると巻き込んで、みるみるうちにまんまるになって。
それをぽん、とコーンに乗せる鮮やかな手捌きにいつも見惚れていました。
サーティワンに行くのが好きだったのはこういうわくわく感もあったから。だからこそお店で食べるアイスクリームは格別だったのです。
そんなある日のこと。
いつものようにオレンジシャーベットを頼んで一口目を食べようとした時、事件は起こりました。
…
…
べ
し
ゃ
っ
その瞬間はまさにスローモーション。
まんまるなオレンジシャーベットが
コーンからゆっくりと転げ落ちて、
床に着くなりはぐれメタルみたいな形に…
視界が涙でぼやけて、
胸がきゅっとなって、
私、いまから、泣きます…!
となったその時、目の前にすっときれいなオレンジシャーベットが現れたのです。
驚いて顔を上げると、店員のお姉さんが優しく新しいものを差し出してくれていて。
それだけでもびっくりしたのに、
「大丈夫だよ、見ててね、ほら!」
と目の前でくるっとコーンを逆さまにしてみせたのです。落ちるかと思いきや、しっかりとコーンにくっついて離れないオレンジシャーベット。
謝りながら慌ててお財布を出す母に
「いいんです、私の盛りつけ方がよくなくて、ごめんなさい」
そう言って柔らかく微笑んだお姉さんを見た瞬間、4歳の私は心に決めたのです。
大きくなったらサーティワンのお姉さんになる!と。
前置きが長くなってしまったので、
その夢を叶えたお話はまた次回。