アルルカン Ⅷ
6、終わり
今 目の前に居る素顔のピエロは
ふんわりとした優しい笑顔を浮かべている
本当にあの貼りついた笑顔のピエロなんだろうか?
思った以上に好みの顔
しかも細身の筋肉質
私って意外とこんな事できちゃう女だったんだな
すみれさん
僕はこんな風にすみれさんの失恋を利用した訳なんですが
そっと私の頬に手を伸ばす元ピエロ
その、もう一回
…どうですか?
…
私も元ピエロの鼻に自分の鼻を近づけ
小さな声で
いいよ
と囁いた
あの後、自宅から居酒屋に移動し
生中で乾杯し
がんがん飲んだ
やけくそに飲んだ
焼酎をロックでゆっくりのんでいる、喋らないピエロに
思いつくままに洗いざらい話した
思い出せば恥ずかしい限り
泣きながらカシスオレンジを飲んでた所までははっきりしている。その後は断片的だった
喉乾いた?
するりとベッドから抜け出て
明るい日差しのもと隠す事もなく歩く元ピエロのしなやかな背中
両手に水のペットボトルを持って戻ってきた元ピエロはひとつを私に持たせ、ベッドに座ると
キャップを開けてひと息で半分ほど飲んだ
普段からあの怪しげな動きをしているからかな?
ひとつひとつの所作がキレイ
あんまり見ないでください
元ピエロはそう言って苦笑した
恥ずかしくなって目を伏せた私の顎を掴んで強引なキスをする
ダメですよ、そんな顔したら
自分でもなんでこんな事してるのかわからないのにまたしたくなっちゃいますから
元ピエロは私が道がわかる所まで送ってくれた
じゃあ
そう言うと あっ、と思いついたように
バッグ、開いて持ってて
言われるがまま自分のバッグを開いていると
パチンと指を鳴らし
下げた袖からパラパラとキャンディが出てきた
ハッピーハロウィン
そう言って手を振った
おわり
ちょっとした事がありまして投稿1時間ズレました
楽しみにしていた方すみません
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