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珍獣HUNTER

もう何十年も前の実話です

序章


私には数年に一度おかしな出会いがあるそれは突然現れて 勝手に納得し そして去っていく

彼らは私のどこに興味を覚え 何に納得するのか?

それはまるで珍しいモノを見るように…

夏の訪問客

アブラゼミが鳴いていた

窓の外、影は濃く
まだ午前中だというのにジリジリと音がしそうなほど暑い日曜日
ヤツはとんでもない破壊力を持って現れた

パジャマ替わりにしている首の伸びたTシャツにジャージ、ノーメイク

本当ならタンクトップにハーフパンツくらいになりたいくらいなのだけど

同居だからそんなわけにもいかない

結婚して一年、やっと生活のペースが見えて来た、そんな頃だ

義理の母親はエアコンのガンガン効いた部屋で扇風機に当たるほど暑がりで

その血をひいている旦那は私に温度を合わせて寝ると布団に人型の汗のアトができる人だ

そんなに汗をかくとやっぱりダルいのだろう
出かけたがりの旦那は珍しくダラダラと過ごしていた

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴る
お義母さんが対応にでた模様

「おーい、お客さんだよ」

「はーい」
私に?誰だろう?
私達の部屋は二階
トントントン、階段を降りると右手に玄関がある

振り向いたお義母さんに
「ありがとうございます」
といい、入れ替わりに玄関に

そこにいたのは見たことのない女だった私より若く勝気な表情をした女は私をゆ~~っくり上から下までと眺める

そしてもう一度上から下まで眺める

「あの?」
にやり
女は嗤った

「ああ、もう用事は終わりました、さよなら」
そう言うと玄関も閉めずに去って行った呆気にとられた私は玄関に立ち尽くし、白昼夢でも見たかのような気分にさせられていた

アブラゼミが鳴いているのがやけに遠く聞こえた

正体

その女は旦那の六つ下の後輩に連れられ謝りに来た
まあ、あれが謝ったと言うのならだけど

後輩と結婚するけど
その前に私を見て置きたかったそうで

なんで私?

その後輩と特別な関係にあったというのなら少しはわかるけど、後輩と全然接点は無いし
かなり意味不明
そんなのと結婚するのか?
後悔しないのか?


そう思った夏の日

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